折節の移り変わるこそ

季節の移ろいの中に、感じたままを一日一日。

ふたつの出会い

2006年02月07日 21時45分05秒 | 立春
 
もう彼これ30年くらいの付き合いのあるピアノ曲があります。
ショパンの練習曲集(エチュード)で、イタリアのマウリツィオ・ポリーニの演奏です。

最初聴いたのは、レコード盤の方でした。
今は当然CDですが、いつも机の上に置いている1枚なんです。

夕べしばらくぶりに聴きたくなって、スタートを押そうとして、
そうだ、クラウディアに似合う曲があると思ったんです。

何十年も聴いているくらいですから、
いつも新鮮な心地のする味わい深い曲ばかりなのですが、
とりわけこの1曲と言えば、作品25の第1番です。

ショパン自身の解説が載ってます。

『近づく嵐を避けて、牧童が安全な洞窟に避難している。
遠くで風や雨が吹きすさんでいるが、
彼は静かに笛をとって優雅な旋律を吹いている』

ですから、この曲には「牧童」という副題が付いているようです。

私には、この曲の分散和音の移り変わりが、風の吹き渡る様子に思えます。

風は当然目には見えないのですが、
たとえば初夏の緑の草原をうねるように渡る風。
あるいは、秋の日にきらきらと照り映える湖面を渡る風。
そうした、あくまでもやさしい風のエチュードとでもいう雰囲気で、
いつもいつも聴いていました。



いま、このプリムラ・ポリアンサ・クラウディアも、ほとんど花開いた感があります。
そして、この花びらにもやさしい風が、かすかに吹き渡っているように思えます。

どこまでもうすい花びらの色も、曲の流れに、風の流れに合わせて、
ひらひらとほんの少し変わっているような錯覚を起こしそうでした。

この曲に出会い、その後いくつもの時の流れを経て、この花と出会えたことが、
何よりも代えがたいものだと実感しています。

(写真の出来がもうひとつですが、実際に近い色になるよう、ストロボなしで撮りました)
コメント (6)
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