この花が庭に咲いているだけで、どんなにか心がなごみます。
先に咲いた黄色い花に、白と紫の兄弟たちが仲間入りしました。
日暮れになると、あるいは雨が降り出すと、開いた花をすぼめてしまっています。
細い細い葉っぱが、初々しさを一層醸し出しているようにも思えます。
こちらからも一枚撮ってみました。
こんなにちっぽけな花なのに、クロッカスは、わが世の春を満喫してるみたいです。
(UNA POESIA DI OGGI)
あたたかな雨がふるなり枯葎 正岡子規 (1867-1902)
※ 枯葎(かれむぐら) 冬に枯れてしまった雑草のかたまり。冬の季語
夕方から、雨がまた一段と強くなってきました。
ここで、私の好きな正岡子規の登場です。
昨日今日の春を思わせる雨の歌を探してましたら、この句がありました。
これも冬と春が同居して、絶妙なバランスが何とも味わい深くていいですね。
It rains. あるいは It's raining.
極端に言うと、たったこれだけなのに、
「枯葎」で、ものみなひっそりと息をひそめている冬の殺風景な様子。
でも、「あたたかな」で、冷たい雨の中にも春を運んでくれているんだという、
驚きにも喜びにも似た気持ちが、私には感じられますがいかがでしょう。
私の庭の枯れた地面にも、そんなあたたかな雨が降りしきって、
まるで正岡さんにサインをいただいた気分。
クロッカスも無邪気に跳ねているようでした。
私の最も好きな短歌も子規の作品ですし、これはそのうちに、写真とともに。