ビオラ、これだけは毎年晩秋に植え付けます。
そして、春の盛りまで楽しませてくれます。
昨年は忘れもしません、11月4日、有給休暇を取ってまで植えました。
季節はずれの夏日で、突然わいた蚊にしこたま刺されました(有急窮蚊!なんのこと?)。
今年も様々な彩りを添えて、春がやってきそうです。
花の数も、少しずつにぎやかになってきました。
バラが咲いてくれるだろう、初夏のその日まで、
いつものとおり、ビオラに願いを託します。
ビオラは私の中では、幼い日のメルヘンに通じるのかも。
(UNA POESIA DI OGGI)
☆ 一つのメルヘン 中原中也 (1907-37)
秋の夜は、はるかの彼方かなたに、
小石ばかりの、河原があつて、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射してゐるのでありました。
陽といつても、まるで硅石けいせきか何かのやうで、
非常な個体の粉末のやうで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもゐるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでゐてくつきりとした
影を落としてゐるのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今迄流れてもゐなかつた川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……
(四季 復刻版 中原中也追悼 昭和12年12月号)
高校の教科書に載っていた記憶があります。
ソネット形式(十四行詩)だとか教えられました。
その頃、この詩を読んでどういう風に感じたのか、
さすがにもう記憶はありません。
かすかな音って、どんな音でしょうか?
「さらさらと」の繰り返し、
聞こえるようで、そうでもないようで、
それでも音の風景です。
陽の射す音、川床に水の流れる音。
そして、光と水が一体になったら、
「さらさらと」した音が、聞こえてくるのでしょうか?
静かに目をつぶると、
はるかの彼方から聞こえてくる音と光の・・・・メルヘン。
実は、この「時期」に、まちがって!載せてしまいました。
(私は、ベースがそそっかしいのです・・・・)
冒頭部分、ずっと「春の夜は」と思い込んでいました。
高校生の春に習ったかもしれないという、頼りない記憶が邪魔をしたんです。
(追伸) この「四季」の表紙の花、何なんでしょうね。
(材木 中原中也)