今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

日曜の中津川

2016年02月07日 | 

中津川温泉での慰労滞在を利用して、日曜の中津川市を味わった。

昨日も行った市図書館の駐車場が満車だったので、隣の市民会館の駐車場に車を停め、市街を横断する旧中山道の通りに向う。
そこでは毎月第1日曜に「六斎市」というかつての定期市が再開され、地元商店の出店が並ぶ。
道脇にある桂小五郎の隠れ家址や地元の豪商・間(ハザマ)家の大正時代の蔵なども見学。

さらに六斎市の出店が尽きる所にある”中山道歴史資料館”は、小さいながらもちゃんとした博物館で常設展のほかに企画展をやるので、中津川に来た2回に1回は訪れる。
今回の企画展は「幕末維新 中津川に夜明けは来たか」。
うれしいことに六斎市の今日は入館無料。

中山道の江戸と京の中間にある中津川は、長州藩が公武合体から尊王攘夷へ政策を転換した「中津川会議」の地。
それだけでなく、平田国学が盛んで薩長側を陰で支えた草莽の士が輩出した所。
なので常設展の資料はもとより、企画展もこのようなテーマになる。

馬籠や中津川を愛する者にとって、幕末維新のこの地を描いた島崎藤村の大作『夜明け前』は必読書。
ちなみに、表題の「夜明け前」とは、明治維新の思想的原動力となった平田国学に心酔していた主人公青山半蔵(藤村の実父がモデル)にとっての失望した明治維新のこと(つまり、この作品の主題は明治維新への痛烈な批判である)。

さらに図書館と同じ建物でその上部階にあたる市民会館に入る。
実は今日は、「南地区世代交代さわやか芸能フェスティバル」という、中津川南部地域の地元の人たちによる芸能発表会が催されている。

もちろん素人の発表会だが、地元の人が継承する「八幡神社奉納笹踊り」や恵那文楽ジュニア保存会の「寿式三番叟」(写真)が披露された。

これらは本番の祭礼で披露されるものだが、それに接する機会がない私にとっては、貴重な体験だった。
かくして、図らずも日常の奥にある一段深い中津川を堪能できた。