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グーグル革命の衝撃

最近、新しいIT・ウエブの将来像を探る面白い新書が目白押しである。「ウェブ進化論」梅田望夫(ちくま新書)あたりから続々と出始め、「グーグル」佐々木俊尚(文春新書)、「グーグル・アマゾン化する社会」森健(光文社新書)、「爆発するソーシャルメディア」湯川鶴章(ソフトバンク新書)、「次世代ウェブ」佐々木俊尚(光文社新書)等、どれも非常に興味深くためになる本ばかりであった。こうした本がもっともっといろいろ出てきて欲しいという感じである。これらの本を読んでいて驚かされるのは、著者達の洞察力の鋭さもさることながら、本の中で紹介されている議論の新鮮さである。こうした新鮮な議論のポイントが新書で読めるというのは、ある意味かなりすごいことだと思う。幻冬舎の本あたりから始まった「書籍の新鮮さ」を重視する傾向が、こうしたジャンル、話題では、大きなプラスとして働いていると感じる。私としては、とにかく、このジャンルに関してはできる限り多くの人の話を聞いてみたい(本を読んでみたい)。そこで少し気がかりなのは、一見「ノウハウ本」のようなタイトルの本の中に、新鮮な意見の本があるのではないかということである。「上手なグーグルの使い方」といったノウハウ本と、上記の本は全然違うものであり、上記のような本で紹介されている議論にもっと触れたいと思っている人は、「ノウハウ本」のようなタイトルの本は買わないだろう。そうした本の中にすばらしい将来像が書かれた本が埋もれているのではないかという不安がぬぐえないのである。

NHKのこの本については、少し前にTVで見た記憶があったが、内容は番組よりも遙かに充実していて、「TVで見たから読む必要なし」という本ではない。これも、「TVで見たからいいや」と思ってしまいそうなところで、読まない人が多くいるとしたら残念な話である。読んだ後の、最先端の問題にふれたという充実感は、最初にあげたいくつかの本の中でも1,2を争う感じであった。但し、この本、2人の著者によって章ごとに交代でかかれており、内容の矛盾や文体のちぐはぐさは当然全く見られないが、両者で他方にやや遠慮して書かれているような気がした。各章の論点が明確な割には、踏み込み方において、そうした遠慮があったのではと少しもどかしい気がした。(「グーグル革命の衝撃」NHK取材班、NEK出版)
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