書評、その他
Future Watch 書評、その他
ジム・アボット
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平面いぬ 乙一
乙一の本は、読む本毎に、微妙な雰囲気の違いがあって、なかなかとらえどころのない作家だと思う。但し、振幅が大きいとか、出来不出来が激しいというわけではなく、それぞれが強烈な「乙一らしさ」を持っていて、しかも読者に高い満足を与えてくれる点には、ぶれがない。こうしたえもいわれぬ彼の独特の雰囲気を「せつない」という言葉で置き換える書評などが多いが、本当にそうした曖昧な形容詞でしか括れない感じがする。ここで乙一の「平面いぬ。」を取り上げたのは、単に、このブログを書き始めてから、久しぶりに乙一の本を読んだからであるが、個人的には、「GOTH」や「ZOO」といった、現代の若者の普遍化を試みているような作品の方が、より彼らしい作品のようで好きである。一方、かれの処女作はどちらかというとその対極にあるような作品で、その中間に彼の中心点があるのだろう。次の作品はどのあたりにあるのかなと思いながら、新しい作品を読むのが、乙一の楽しみ方の一つだろうと思う。
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