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ジム・アボット

90年代に大リーグで活躍した左腕投手。生まれつき右腕の先がないという障害を乗り越えて、大学野球、プロで活躍した選手である。投げ終わったあとにグラブを左手にパッと持ち替えて守備につく姿は、今でも鮮明に目に焼き付いている。大リーグで通算89勝、18勝した年もあり、しかもノーヒットノーランまでやってのけているのだから、「障害を乗り越えた」投手としてではなく、本当に実力があったのだと思う。サインには、出身校のミシガン大学の名前が直筆で書き添えられている。大学のエースとして活躍し、ソウルオリンピックでの金メダルの立役者になったその時代こそが、彼自身の原点であり、誇りであるという心境が伝わってくる。
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平面いぬ 乙一

乙一の本は、読む本毎に、微妙な雰囲気の違いがあって、なかなかとらえどころのない作家だと思う。但し、振幅が大きいとか、出来不出来が激しいというわけではなく、それぞれが強烈な「乙一らしさ」を持っていて、しかも読者に高い満足を与えてくれる点には、ぶれがない。こうしたえもいわれぬ彼の独特の雰囲気を「せつない」という言葉で置き換える書評などが多いが、本当にそうした曖昧な形容詞でしか括れない感じがする。ここで乙一の「平面いぬ。」を取り上げたのは、単に、このブログを書き始めてから、久しぶりに乙一の本を読んだからであるが、個人的には、「GOTH」や「ZOO」といった、現代の若者の普遍化を試みているような作品の方が、より彼らしい作品のようで好きである。一方、かれの処女作はどちらかというとその対極にあるような作品で、その中間に彼の中心点があるのだろう。次の作品はどのあたりにあるのかなと思いながら、新しい作品を読むのが、乙一の楽しみ方の一つだろうと思う。
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