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イカの神経・ヒトの脳みそ 後藤秀機
本書は第1部、第2部に分かれていて、第1部では動物の神経、第2部では人間の脳に関して、そのメカニズムを解明しようとしてきた科学者による実験内容とその結果が淡々と述べられている。最後まで読んで強く思ったことは、いかにこの分野の研究が試行錯誤の連続だったかということだ。要するに間違いだらけだったということだ。ノーベル賞の受賞対象となったような研究もその例外ではないらしい。こうしたことは自然科学に共通したことなのだろうが、特にこの分野ではそれが激しいとの印象だ。人間というものがいかに「見たいものしか見えない」かということが良く判る。本書の圧巻は後半の神経系の疾病に関する研究の部分で、「ロボトミー手術」とか「脳移植」といった研究の話がでてくるところだろう。「ロボトミー手術」の「ロボ」というのは「ロボット」のことかと思っていたがそうではなく、脳の一部分の名称とのこと。とにかくその研究の過程が淡々と述べられている部分が、現実のこととは思えないくらいに恐ろしい。(「イカの神経・ヒトの脳みそ」後藤秀機、新潮新書)
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