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銃に恋して~武装するアメリカ市民 半沢 隆実

アメリカにいた頃、米国憲法修正第2条の改正問題が持ち上がり、結局改正案が廃案になったということがあった。その時から「銃を持つ権利」が憲法の「第2条」に書かれている理由、全米ライフル協会の会長だったチャールトン・ヘストンが実は「銃」以外のことに関しては進歩的な人道主義者だったとことなど、それらの不思議さが気にはなっていたのだが、突き詰めて考えたことがなかった。本書を読んでようやくそのあたりの事情が飲み込めてきたような気がした。要するにアメリカは、まだ独立戦争という「市民革命」が理念的には終わっておらず、「市民から銃を取り上げること」は「圧制者の弾圧」に等しいことなのだということだ。銃を規制した方が良いに決まっていると単純に思ってしまうが、平和で自由であることがかなり不安定なものであるという認識に立てば、問題はそれほど簡単ではないのだろう。アメリカ社会の良さと悪さという2面性は少し住んでみればすぐに感じることだが、アメリカ社会を「銃」を通して見てみるという著者の試みは、それ以上のものを読者である私にもたらしてくれたように思う。ヒトラーが銃の規制を強化した等、初めて知った事柄も多かった。(「銃に恋して~武装するアメリカ市民」半沢 隆実、集英社新書)
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