goo

私が見た21の死刑判決 青沼陽一郎

裁判で死刑判決が言い渡される特異な瞬間を21度も目撃したという著者がその体験を元に死刑制度や裁判員制度について考えるという本書。多くの死刑判決瞬間の比較から、死刑制度の賛否以前に、現行制度には改善点が多いことを指摘する。天と地の差がある死刑と無期懲役間を隔てるものは何か? それが裁判官の人間性であったり、被告人の自己表現の巧拙であったりするのは、やはり不公平ではないかという指摘には同感である。特に被告の反省度合いが量刑に影響するという点について、多くの被告人を見ていると、その反省の上の表現方法が被告人の性格や器用さによって差がでてしまうという問題点は、裁判制度の導入も踏まえて考えさせられるところが多かった。(「私が見た21の死刑判決」青沼陽一郎、文春新書)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )