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退出ゲーム 初野晴

主要なストーリーは、部員不足に悩む吹奏楽部に所属する高校生の主人公が、部員を勧誘するために奔走するというもので、主人公が謎を1つ解き明かすたびに部員を1人獲得していくというものだ。書評などで非常に高い評価を得ていたのは知っていたが、ライトノベルのような青春ミステリーだと思い、読むのを後回しにしていた。今回読んでみて驚いた。確かにそうした軽いストーリーがメインで、文章もそうしたノリなのだが、謎を解いた後の行き着く先が、何とも重たい社会的な問題を直視せざるを得ない内容になっている。特に最後の「エレファンツ・ブレス」には驚かされた。突きつけられる事実の重さ、何気なく使われているアイデアの両方に驚かされ、書評で高い評価を受けたのはそういうことだったのかと判る。「エレファンツ…」のような悲劇は、私もアメリカ滞在中に耳にしたことがあるが、これがこうした形でミステリーに使われるとは思ってもみなかった。(「退出ゲーム」初野晴、角川書店)
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