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道のない地図 須賀敦子

先日NHK教育TVで「須賀敦子」の特集をやっていた。今年の初めに須賀敦子の「トリエステの坂道」を読んでいたく感銘した覚えがあった(2009年1月23日に紹介)が、次に何を読んだら良いのか判らずにいた。TVを観て、彼女の軌跡を少し詳しく知ることができ、また作者の本を読みたくなった。彼女の本は「じっくり読みたい」と思わせる本だ。
 イタリアで結婚・夫との死別を経験した後、日本に帰ってきてかなり時間が経ってから書かれた「イタリア」は、追憶の中という叙情性を強く感じさせるのだが、感傷的でもないし美化もされていないように思う。ベネチアの友人とベネチアに行って橋の上で待たされる話から思い至る友人の秘密、「INCURABILLI」(治癒する見込みの無い)という名前の病院の存在から推察されるイタリア人の心の中等の話が大変面白かった。私もこうした感性を持って物事を考えていきたいし、何とか持てるようにしたいと思った。(「地図のない道」須賀敦子、新潮文庫)
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