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万物理論 グレッグ・イーガン
細切れの時間しかとれなくて難渋したが、出張の電車のなかでようやく読み終えた。本書は様々なSFのランキングでオールタイムベスト1に輝く作品で、前から読もうと思っていた。先日刊行された「SF・本の雑誌」でも本作がオールタイム・ベスト1に選ばれていた。大変凝った内容だということを聞いていたのでこれまで何となく躊躇していた。作者のグレッグ・イーガンについても古今最高のSF作家という評価が定着してきている。その作者の本を1冊も読んだことがないというのも悲しいので今回読んでみた。それにしても本書に対する評価はものすごい。
第1位「本の雑誌」この30年間のSFベスト30
第1位『SFが読みたい!2005年版』ベストSF2004海外篇
第1位「本の雑誌」2004年SFベスト
第2位『SFが読みたい!2007年版』「2000年代前期SFベスト30」海外篇
第1位『SF本の雑誌(別冊本の雑誌)』Fオールタイムベスト100
これまで読んだなかでは「エンダーのゲーム」「獣の奏者」がマイベストSFと思っているが、果たしてこの本はどうなのだろうか、というのが個人的な興味だった。
読み始めると、やはり予想通りかなり難渋した。こうしたSFやファンタジーは作者が想定した未来や異世界についてどこまで解説を加えるかで、読みやすさ、取っつきやすさが決まる。説明が少ないとその世界に入り込みにくいが、逆に多すぎても興ざめになってしまう。その加減が作品の良し悪しを決めると言っても良い。本書は明らかに解説的な要素を最小限に抑えた書き方で、そのため、その世界に入り込むことがなかなかできないのが難渋の最大の要因だ。第1章を読み終わってもまだその世界がぼんやりとしか見えてこないことにいらいらする。第2章に入っても、ストーリーはなかなか前に進まない。ここらあたりで、筋を追いかける小説ではないと割り切って、劇的なストーリー展開を期待しないで読み進める。
そして、3分の2ほど読み進むとようやく全体が見えてきて、「こんな壮大な話だったのか」と判る。取っつきにくさを考えると、マイベストSFには押しがたいが、スケールの大きな傑作であることは間違いない。それにしても、読み終えた時、この本の翻訳者に非常にお世話になったような感じがした。おそらく難渋な原書を判りやすく翻訳することに非常な労力をかけられたのだろう、ということが伝わってくる。この翻訳者の翻訳でなかったら、楽しむ余裕すらなかったのではないかと思うと、感謝の気持ちが沸いてきた。(「万物理論」グレッグ・イーガン、創元SF文庫)
第1位「本の雑誌」この30年間のSFベスト30
第1位『SFが読みたい!2005年版』ベストSF2004海外篇
第1位「本の雑誌」2004年SFベスト
第2位『SFが読みたい!2007年版』「2000年代前期SFベスト30」海外篇
第1位『SF本の雑誌(別冊本の雑誌)』Fオールタイムベスト100
これまで読んだなかでは「エンダーのゲーム」「獣の奏者」がマイベストSFと思っているが、果たしてこの本はどうなのだろうか、というのが個人的な興味だった。
読み始めると、やはり予想通りかなり難渋した。こうしたSFやファンタジーは作者が想定した未来や異世界についてどこまで解説を加えるかで、読みやすさ、取っつきやすさが決まる。説明が少ないとその世界に入り込みにくいが、逆に多すぎても興ざめになってしまう。その加減が作品の良し悪しを決めると言っても良い。本書は明らかに解説的な要素を最小限に抑えた書き方で、そのため、その世界に入り込むことがなかなかできないのが難渋の最大の要因だ。第1章を読み終わってもまだその世界がぼんやりとしか見えてこないことにいらいらする。第2章に入っても、ストーリーはなかなか前に進まない。ここらあたりで、筋を追いかける小説ではないと割り切って、劇的なストーリー展開を期待しないで読み進める。
そして、3分の2ほど読み進むとようやく全体が見えてきて、「こんな壮大な話だったのか」と判る。取っつきにくさを考えると、マイベストSFには押しがたいが、スケールの大きな傑作であることは間違いない。それにしても、読み終えた時、この本の翻訳者に非常にお世話になったような感じがした。おそらく難渋な原書を判りやすく翻訳することに非常な労力をかけられたのだろう、ということが伝わってくる。この翻訳者の翻訳でなかったら、楽しむ余裕すらなかったのではないかと思うと、感謝の気持ちが沸いてきた。(「万物理論」グレッグ・イーガン、創元SF文庫)
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