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宇宙は何でできているのか 村山斉

少し前のベストセラー。学問の世界で宇宙論と素粒子論が結びついたのは、宇宙の起源がだいぶ判ってきたここ20~30年くらいのようで、そのあたりの事情が巧みな比喩で解説されている。ちょうどこうした本を読み漁ったのが学生の頃なので、その時に読んだ本の内容とはまさに隔世の感がある。巧みな比喩はいいのだが、それで少しわかったような気がしても、それと同時に実際全然わかっていないということもよく判ってしまうので、読んでいて何だか切なくなる。こういう世界を研究している人々は、どうやってそれを理解しているのか、それとも我々と同じように判ったような感じのままで、思考を前に進むことができるアバウトな能力を持った人々なのか。我々一般人がすっと理解できるような解説本に出くわさないということは、もしかすると、後者なのではないかと思ったりする。ほとんど理解できなくても、懲りずにこうした解説本を、時々読みたくなるのは、それを確認する作業のような気がする。(「宇宙は何でできているのか」 村山斉、幻冬舎新書)

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