書評、その他
Future Watch 書評、その他
ピース 樋口有介
本屋さんのポップ広告に「表紙の絵に謎を解く鍵が?」という内容の文句があり、「どういうことだろうか?」と思って読んでみた。この本屋さんは私が最も良く行く店で、ポップ広告も面白いし、時々大物作家のサイン本が置いてあったりして、1週間に1回か2回は必ず立ち寄るようにしている。土曜日の朝のNHKハイビジョン・プレミアムでやっている「週刊ブックレビュー」で紹介された本を置いてあるコーナーもあるし、新聞の書評で取り上げられた本も1つの棚に置かれている。こうした様々な努力のせいだと思うが、5つ位あるレジはいつもフル回転で、5人10人の待ち行列ができていることもしばしばという、不況知らずの本屋さんである。多分、この業界では有名な本屋さんで、だからこそ貴重なサイン本なども置くことができるのではないかと思う。話が逸れてしまったが、本書は、まさに、ポップ広告の通り、表紙の絵がミステリーの最も重要な部分に関係している。読んでいると、登場人物の描写がこれほど緻密で、小説らしいミステリーも久しぶりだなぁという気がした。殺人の動機としてあるアイデアがあり、それをここまで緻密な話に作り上げる著者の才能のすごさを十分に堪能できた。本屋さんのポップがなければ読むことはなかったと思うと、やはりあの本屋さんもすごいと思う。(「ピース」 樋口有介、中公文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )