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ニッポンの評判 今井佐緒里

本書は、副題に「世界17か国最新レポート」とあるように、各国の事情に詳しい18人のライターによる「日本の評判」を集めた本だ。学生の頃、「日本」論や「日本人」論がブームになり、さらにそうしたブームを背景に「世界の評判を気にしすぎる日本人」論なども登場するといった現象があったのをよく覚えている。本書は、アニメやファッションなど評判の対象は随分異なるが、「自信を失いかけている日本」を鼓舞するような内容で、30年前の日本人論と根っこは同じような気がする。違うところは、本書に収められた17か国のなかに、「ブラジル」「マレーシア」「トルコ」「トンガ」「イラン」「ドバイ」といった新興国やアジアの国々半数近く入っていて、先進国からの目線一辺倒だったかつての日本人論と趣を異にしていることだろう。やはりそうした国のレポートのほうが読んでいて新鮮で面白いし、欲を言えば、もっとそうした目線が多くてもよかったように思う。ベトナムとかカンボジアとかミャンマーとかそうした国々が日本をどうみているのか、それが中国や韓国と比較してどう違うのか、そうしたことを伝えてくれレポートがたくさんあればもっと面白かったのではないかと思う。(「ニッポンの評判」 今井佐緒里、新潮新書)

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