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ご先祖様はどちら様 高橋秀実

「ハイ泳げません」を読んで以来の作者のファンということになるが、今回も、十分に楽しませてもらった。こういう体験型のルポを読むことの良さは、自分がやりたいことを安直に疑似体験させてもらえるということだ。しかも、プロの作家の体験なので、当然後で文章にするという前提で動いているので、普通の人の行動よりも、深い内容になる。普通の人ならば「この辺でまあいいか」となるところでも、後で文章にすることを前提にしているので、妥協せずにとことん追求してくれる。但し、それがあまり細部にわたり過ぎていても、こちらの興味そのものが続かないこともあるし、「そこまではいいのに」ということでいやになることもある。そのあたりのさじ加減、普通の人にはそこまでやる根性はないが、本当はそこまで知りたい、そういうバランスが、著者の本は程良いのだろうと感じた。それにしても、本書を読んでいると、ご先祖様を辿る方法が、家系図、戸籍、お墓、家紋、人づてなど、色々あるんだなぁと感心してしまった。(「ご先祖様はどちら様」 高橋秀実、新潮文庫)

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