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ジャック・リッチーのびっくりパレード ジャック・リッチー

日本でのオリジナル編集という短編集の第2弾。30近い短編が収録された豪華な1冊だが、第一弾と同様、軽く読めて楽しい作品集だ。色々な作品が並んでいるが、大半は「犯罪絡み」の話で、小賢しい犯罪者や警察を出し抜く悪知恵の働く犯罪者の話だったり、知恵が足りない滑稽な犯罪者の話だったりだが、読んでいて一番面白いのは、読者が登場する小賢しい犯罪者や警察と同様に作者に翻弄される類の話だ。短い簡潔な文章であっという間に読み終わってしまうので、作者との知恵比べという感じにはならないが、そういうことでしたかと思わずうなってしまう。短編のなかに、名作「エミリーがいない」と途中までそっくりの話が載っていて、あれっと思ったが、結末は全く違うものだった。そんな肩すかしまで楽しめてしまう稀有な1冊だ。(「ジャック・リッチーのびっくりパレード」 ジャック・リッチー、早川書房)

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