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観察力を磨く名画読解 エイミー・ハーマン

本書は、色々な職業に欠かせない観察力を養うセミナーを行っているという著者の本。その方法が変わっていて、「目の前の古今の名画、報道写真などを観察し、それがどういう作品かを他人に伝えることで、観察力を高める」という。本書でも、沢山の絵画や写真が掲載されていて、それを見ながら地の文章を読むことで、著者のセミナーを擬似体験出来るという仕掛けだ。読む前は、観察力を磨くのと同時に、絵画の見方にも色々な示唆があるのではないかと考えたが、本書はあくまで観察力を磨くための自己啓発本だった。豊富な図版と事例が次から次へと紹介され、1つ1つについてじっくり吟味する暇も与えないように講義は進む。画家の主観が介在する絵画なので、それを過不足なく伝えるのは難しい、それだからこそ訓練なるということなんだろうが、絵画をそういう使い方をすること自体、随分即物的・アメリカ的だなぁと感じた。(「観察力を磨く名画読解」 エイミー・ハーマン、早川書房)

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