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この落語家を聴け 広瀬和生

先日読んだ「この落語家に訊け」と同じく10年ほど前に刊行された落語の解説書。著者の履歴には「落語の専門家ではない」と書かれているが、1年間に1500席も落語を聴いていると自分で書いているから、ほとんど毎日寄席や落語会に通っている勘定になり、本職よりも時間と体力を落語に向けているのだろう。本書は落語家個人に焦点を当てて、落語の聞き方、楽しみ方を解説してくれている。落語は演目ではなく演者を選んで聞くものだとか、落語の醍醐味は落語家の個性と聞く方の好みのぶつかり合いだといった著者の意見は、自分の実感とよく合致している。そもそも落語を聞きに行くと話が始まるまで何が演じられるかわからないのが普通だし、落語は面白いと感じるものと面白くないものの振れ幅が大きくて、聴いていて面白いかどうかも主観の要素が大きい気がする。自分自身は、古典落語に全く面白さを感じないのでもっぱら新作落語中心の落語家の落語会ばかり聞きに行っているが、本書を読んで、コロナ危機が鎮静化したら聞きに行く落語会などの範囲をもう少し広げてみても良いかなぁと思った。(「この落語家を聴け」 広瀬和生、アスペクト)
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