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緋色の残響 長岡弘樹

シングルマザーの女性刑事と中学一年生の娘が主人公のミステリー短編集。ここで扱われているのは、その娘が事件の重要な目撃者になる事件、娘の担任の先生が殺されてしまう事件、娘が通っていたピアノの先生が絡む事件、娘の同級生が被害者の殺人未遂事件など。ひとりの中学生の周りでこれだけいくつも凶悪事件が起こるのはいくら何でも不自然だとは思うが、それぞれの事件に潜む人間心理や事件解明の手がかりの面白さを考えると、そんなことはどうでもよくなってしまう。短編集を読む場合にそれぞれの短編を楽しめば良い、全体としてちょっと不自然などということは考える必要はない、そうした短編集の当たり前の読み方を教えてくれる一冊だ。(「緋色の残響」 長岡弘樹、双葉社)
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