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その扉をたたく音 瀬尾まい子

プロとも言えずアマとも言えぬ状態でギターを弾いてぶらぶらしている青年が1つの出会いをきっかけにして動き出そうとするまでを描いた小説。この青年、最近の小説の主人公にしては珍しく裕福で不自由のない生活を送っていて、明治時代の夏目漱石が描いた「高等遊民」を彷彿とさせる。漱石の描いた青年とこの青年の違いがそっくりそのまま百数十年の日本の変化なのだと思うと色々考えさせられる。中編くらいの長さだが充実した一冊だった。(「その扉をたたく音」 瀬尾まい子、集英社)
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