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探偵は御簾の中 汀こるもの

書評誌で面白いと書いてあったのでネットで取り寄せて読んでみた。帯には「平安ラブコメミステリー」とあり、平安時代の京都の治安を守る検非違使の長官である別当職の妻が夫から色々聞いて京都の町で勃発する怪事件の真相を当ていくいうミステリー短編集だった。舞台が平安時代ということで、真相の究明よりも貴族たちの体面が最優先だったり、とても怪しい陰陽師が出てきたりで、それが何とも可笑しい雰囲気を醸し出している。また本書で最も面白いのは、探偵役の妻とその夫のキャラクターだ。特に妻の方は一周回って昔の人はこうだったんじゃないかと思えてしまうほどの合理主義者でそれがとても斬新。ひとつ難を言えば、昔の人が本名で呼ばれたり役職とか住んでいる場所で呼ばれたりというのがちゃんとそうであったろうという感じで書かれているが、この辺り幅広い読者のために少し妥協してくれてもいいと思った。(「探偵は御簾の中」 汀こるもの、講談社タイガ)
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