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久遠の檻 知念実希人

本書はシリーズ12作目。登場人物の掛け合い漫談と医療ミステリーというテイストはこれまで通りだが、最初に提示される謎はこれまでの作品の中でも1、2を争うほど不可解なもの。歳をとらない少女、死んだはずの少女の復活などなど、これらの謎を医学的な知識で解き明かせるとはとても思えなかったのだが最後には見事に解決してみせる。さすが本当のお医者さんならではの発想と論理思考だなぁと思う。医学にしてもAIにしても最先端の科学が悪用されることの恐ろしさを改めて実感。本書の前に読んだ著者の作品がほとんど医学的要素のないミステリーだったので作風の変化かもしれないと思ったのだが本書を読んで少し安心した。(「久遠の檻」 知念実希人、新潮文庫)
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