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異形のものたち 中野京子

古今東西の美術作品で表現されている「異形のもの」を人獣、蛇、悪魔、キメラなどのカテゴリーに分け、それが描かれた美術作品の見方や歴史的背景などを教えてくれるエッセイ風の解説書。言葉などでしか伝わっていないものの可視化を試みる様々な美術家の努力とか妄想のようなものが伝わってきてものすごく面白い内容。但し、非常に残念なのは掲載されている作品の掲載の仕方が雑なこと。絵の左右に解説を入れたいがために、大半の絵画が左右見開きになっていてその真ん中部分が見えなくなってしまっていたり歪んでしまっていたりしている。詳しく見たければちゃんとした美術書を見れば良いのかもしれないが、著者の本の良さの一つはあまり知られていないマイナーな作品にもスポットを当ててくれているところにあるのでちゃんとした図版で見ようと思ってもそう簡単ではないし、そもそも気軽に読めるのが新書の良いところのはず。本書の良さが図版の扱いで随分損なわれてしまっている気がした。(「異形のものたち」 中野京子、NHK出版新書)
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