goo

リケジョ 伊与原新

科学の知識を織り込んだミステリーが特徴の著者の短編集。本書もこれまでに読んだ作品同様、科学の知識が事件解決の糸口になるのだが、難しい科学的事実で煙にまくのではなくあくまで解決のきっかけに留まっていて、アンフェアな感じでないところが楽しさの秘密だと思う。扱われている科学の分野も宇宙物理学、生命科学など多岐に亘っていて、特に人間の色彩の認知の仕方の話などは「へぇそうだったのか知らなかった」と思わず唸ってしまった。ちょっと物知りになった気がするなど色々な意味で楽しい一冊だった。ただし、本書の「リケジョ」というライトノベルのような軽い感じの題名は内容のシリアスさや雰囲気とマッチしていない気がする。気軽に読んで欲しいということかもしれないが、もう少し格調高い題名の方が良かった気がした。(「リケジョ」 伊与原新、角川文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )