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すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン

書店員さんの覆面座談会の記事を読んでいたら、最近全国的に売れている話題の一冊とのことなので読んでみた。著者は20年近く前に亡くなっているアメリカの女性作家で、死後10年くらいして再発見、その後徐々に世界的に再評価されてきている作家とのこと。本書は10ページくらいの短編が20編ほど収められた短編集で、その多くは作家自身の体験を描いた私小説のような内容。最初のうちは何を読んでいるのかよく分からない感じだったが、何故か救急救命室の事務員の話あたりから俄然面白くなってきて、その後も面白いなぁすごいなぁという短編がいくつかあった。彼女の略歴を見ると、執筆にあたって老人ホームでのヒヤリングなどを行なっていたとあるので、おそらくそうして得た話と自分の体験を融合させるのが彼女の作風なのだろう。彼女の作品集の日本語版は本書が2冊目、最初の1冊目が再評価のキッカケになったということなので、そちらも読んでみたいと思った。(「すべての月、すべての年」 ルシア・ベルリン、講談社)
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