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新!店長がバカすぎて 早見和真

数年前の本屋大賞ノミネート作品の続編。前作は本屋で働く店員さんのブラックな職場環境が執拗に描かれていて、読んでいてやるせない気持ちになった記憶があるが、今作はやや趣の違う印象を受けた。職場の苦労話は相変わらずだが、その苦労はどんな職業にもありそうなものとか上司に恵まれなかった不運という色彩が強くなっていて、さらにそれでも働き続ける書店員さんの使命感や日々の充実感が多く描かれているからだと思われる。もう一つの前作との違いは、非日常的なエピソードが満載という点。SNSでの炎上とか意外な人事異動とか謎の覆面作家の正体とか、各章毎にかなり大きなイベントが盛り込まれていて、ややドタバタ感を感じてしまうほどだ。SNSの炎上など扱いがコミカルすぎて違和感を覚えてしまうが、これも読者サービスなのだろう。読者サービスという点では、それ以外にも、作中作と本文の意外な連携とか、題名の「!」マークに隠された意味など、そこら中に散りばめられている。前作同様明らかに本屋大賞を意識して書かれている本書が再度ノミネートされるかどうか気になるところだ。(「新!店長がバカすぎて」 早見和真、角川春樹事務所)
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