goo

午後のチャイムが鳴るまでは 阿津川辰海

5つの短編が収められた連作学園ミステリー集。外出禁止という校則違反を無視して評判のラーメンを食べに行く話、学園祭で販売する同人誌の締め切りにまつわるドタバタ、昼休み中の消しゴムポーカー対決等、たわいないストーリーの中に、謎解きや人間消失といったミステリー要素が盛り込まれていたり、名作「九マイルは遠すぎる」のオマージュがあったりと、バラエティ豊かな内容だ。本書の一番の特徴は、各短編が最後の話で「全ての話が2つの同じD」で繋がるという構成の面白さだ。一つ目のDは第3話くらいでそうだと面白いなぁと予想がついたし、もう一つのDも4話目のある記述で分かってしまったが、気づいた伏線以外にも沢山の仕掛けが施されていてびっくりした。これだけの仕掛けは第1話からそれを意識していなければできない芸当で、エンターテイメントに徹した著者の思惑に脱帽だ。(「午後のチャイムが鳴るまでは」 阿津川辰海、実業之日本社)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )