書評、その他
Future Watch 書評、その他
天の梯 高田都
いよいよシリーズの最終話。少し前からシリーズ完結は予告されていたし、あまり長引かせずにきっぱり終わるらしいことには好感を感じていたのだが、、いざ終わるとなるとやはり寂しい。主人公を巡っては、①料理人としての大成 ②お世話になった人への恩返し ③幼馴染の救助 ④恋愛の成就という4つの課題があり、どれか1つを成し遂げようとすると、他の課題のクリアーが遠のくというパターンで話が進んできた。最後になって急転直下、全ての課題クリアということで、多少無理な設定はあるのかもしれないが、これまでの主人公のまっすぐな生き方や他人を思いやる気持ちを考えると、このくらいのご褒美はあってもおかしくないと思わせてくれた。それまでの苦労と最後のご褒美がちょうどバランスのとれたところでの完結、後味が非常に良いのはそのためだと思った。(「天の梯」 高田都、ハルキ文庫)
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亜愛一郎の転倒 泡坂妻夫
少し前に読んだシリーズ1作目が大変面白かったので、すぐに次を読みたいと思ったのだが、本屋さんでなかなか見つからず、ネットで2作目、3作目を取り寄せて入手した。2作目の本書は、1作目に比べて奇想天外さは多少弱い感じで、8つの短編のうち、半分くらいは結末の予想がついてしまったが、それでもアクロバティックな展開は相変わらず面白い。特に、「人間というものがはある法則に囚われてしまうとそれから逸脱した行為を行うことができなくなる、不合理と判っていてもその法則に沿った行動をとってしまう」ということを利用した謎ときは、まだこんなにバリエーションがあるんだと感心してしまった。第3作目にもこうした趣向の作品が残っているのかどうかが楽しみだ。(「亜愛一郎の転倒」 泡坂妻夫、創元推理文庫)
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