玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

『詭弁社会』を読む  その⑿

2024-09-05 10:30:57 | 

山崎雅弘は近年の自民党政権の公式のコメントの特徴や属性を「詭弁」と表現した。

そして、詭弁の定義を、「命題や推理に関する論理的操作によって生ずる、一件尤もらしい推論で、何らかの誤謬を含むと疑われるもの。相手を欺いたり、困らせる議論の中で使われる」として、新村出編「広辞苑」を引用した。

果たして詭弁という括りで言い尽くせる現象、状況とは考え難いのではないか。筆者が『詭弁社会』として、今の政治、行政の状況を捉えたので、一応レビューをしてみました。すこし脱線するかもしれません。

私には図書館で借りて少し読んでから、良しとなれば、線が引ける中古本を買う癖があります。

図書館につくと、酷暑なのでソファーですこし休みます。隣には先週も見た爺さんが居ます。

来年の夏は私も此処にずっといるかもしれない、…。結局この本は買いませんでした。

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森功『官邸官僚』『国商』から『詭弁社会』へ (その11)

2024-08-30 11:03:57 | 

彼は1940年生まれ、たぶん大学時代に六〇年安保を経験していたが、民主主義というモノから遠かった人間で、自らの一代エリートの地位を利用して政治に侵入し、その矜持を貫いたのではないだろうか。

ワタシは、葛西敬之には、楽して儲かるJR東海の富を四国と北海道に振り分ける度量がない、いや、公共交通の利益という視点に立って、公平な富の分配の思想を持って欲しかった。それが真に政治的な経営者ではないだろうか。また、それこそが憂国の士ではないだろうか、と思う。

リニアは新たな利権となるかもしれないが、所詮は企業家や財界や土建業者の利権であり、一般の国民の幸せにはつながらないのではないだろうか。

彼はキャリア国鉄マンの雇われ社長から真に血統の良い財界人になりたかった、いや、成れないのならば、そういう人間を応援したかったのではないか。だから血統の良い、与謝野に、安倍に憧れた。そんな気がする、・・・。

 

しかし、彼が裏でおこなったNHKの会長人事による国有放送化への偏向はその後の国の報道の自由を歪めることになり、罪深いことをしたのではないか。マスコミの中心にあるNHKを人事で拘束することは、自民党・財界から電通を通して広告収入で民間放送を怯懦させることの両面からの圧迫によって、この国の放送公用語を破壊して行った。

結局、日本語全体を歪めて、公用の言葉から民主主義を毀して歪めていき、反民主化、非西洋化への道筋を作り上げた。しかし、それは、何も確たるものがない新しいだけの戦前に向かわせた。

そこに気付いた作家がいた。山崎雅弘である。次は『詭弁社会』を読んで行きます。

 

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森功『国商』を読んで (その10)

2024-08-29 11:34:46 | 

葛西敬之(よしゆき)はリニアによって、新たな世界的な利権を作ろうとしたのではないか。そして、自分のいたJR東海を、元日本国有鉄道だったという大城の天守閣にして、本来は自分が行くべきだったJR 東日本を天守閣から見下そうとしたのではないだろうか。

だが所詮、首都圏を抱えるJR東日本には到底かなわない。よって、彼は経営ではなく、政治の世界に入っていった。

どんなに儲かる鉄道会社でもJR東海、JR東日本は西武鉄道や東急にはなれない。彼はあくまで国鉄のキャリア職員で分割民営化に功があっての、結局、大きな国有会社の「雇われの経営者」でしかないのだ。

なぜ彼は東大同期が中心となった「四季の会」からNHK経営委員を入れて、やがて会長人事まで口を出すようになったのだろうか。

結果として、彼のやったことは、安倍晋三や菅義偉が直接NHKの人事に介入することを隠し、民間の側からの力で、NHKを実質的な国営放送にする道を進行させたとしか思えない。

なぜ彼は全く畑違いの「NHKの人事に手を突っ込んだのか」

割合、答えはみじかにあった。国鉄は日本国有鉄道ではないか。彼にとって、経営が受信料で安定しているNHK(日本放送協会)を日本国有放送協会へ変えることを全く躊躇しなかった。彼は1940年生まれ、六〇年安保にどのようにかかわったのだろうか。

とすれば、森が指摘する「彼が日本会議の要職にある」という指摘に彼の姿が朧気ながら見えてくる。

 

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森功『国商』を読んで (その9)

2024-08-23 10:03:45 | 

葛西敬之という男はどこにでも居るような分かりやすい野心家に見える。彼の経歴を見て、多分葬儀は二か所でやったと思ったが、確かにJR東海の本社のある名古屋と彼の住居のあった東京で行われている。

彼は東京都立西高から東大に入り、国鉄に勤めた。本当は、彼はJR東日本の社長になりたかったのではないだろうか。

その野望が彼を政界にも手を伸ばす動機となったと思っている。

葛西は東大の同級生から首相を出そうと与謝野馨を担いで、一部財界人の「四季の会」を造ったそうだ。そこに、与謝野が若い安倍を連れてきたのが二人の関係の始まりだと云うことだ。

葛西は学歴と血統を重んじた。与謝野馨、安倍晋三、然り、しかし、JR東日本の社長となった松田昌士は東大ではなく北大だった。彼には不満だったはずだ。

国鉄を六つに分割した。本州の三つはイイだろうが、島(九州・北海道・四国)の三つは大変だ。現実に北海道と四国の現在の惨状を見れば明らかである。

東海道新幹線があって、居ながらにして儲かるJR東海は、原発の電力を頼るリニアに賭けて、弱小の地方JR路線への援助を考えていない。

此処に彼の性格や思考の新自由主義の一面を垣間見る。

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森功『国商』を読んで (その8)

2024-08-16 09:54:42 | 

国鉄上層部と対立しながらも分割民営化を推進したという若手三人の中で特に葛西敬之の動きは派手であった。彼は中曽根の審議会政治の中心人物である瀬島龍三伊藤忠商事相談役と懇意になった。葛西は野心家と言うべきだろう。

当時、国鉄労組はこの国の労働組合運動の中核であった。国鉄のストの威力は大きかった。それを政治の側では壊したかったのだろう。

中曽根政権は組合の闘争力を分割化して弱体化させることを企図した。それを汲み取って若手三人組は政権側に付いた。森功は明確に言っていないが、そういう結果である。

当時、ワタシも長期の鉄道ストによって通勤できなかったことをよく覚えている。そして、国労と動労という二つの組合が国鉄に在ることも知っていた。動労は革マル派系と言われ、強力な活動団体であったが、国労の弱体化の為に経営側に手を貸した、と森は書いている。

国鉄の分割民営化は<動労の裏切り>によって、国労を弱体化させて突破していったことを、この本で初めて知った。

JR東日本に移行後、駅構内で喫茶店ができ、武骨な手でコーヒーを淹れる元国鉄職員の姿を思い出した。

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