トロリーバスとは、車輪がゴム製の路面電車だと理解していた。先日、初めてハワイに行ったが、トロリーバスがあると聞いて興味津々。ところが、ハワイのトロリーバスはワイキキを中心とした日本の各ツアー会社が運行する自社専属バスであった。したがって、ワイキキの通りには、ツアー会社の色とりどりのバスがひっきりなしに走っている。しかし、そのバスに乗るにはツアーの発行するカードが必要で、相互の互換性がない。つまり自分のツアーのバスしか乗れないのだ。
二日目あたりから、奇妙なことに気がついた。バスには屋根があるが、(実は屋根のない2階だてバスもある。)窓はなく素通しで外が見れる。乗客にとっては外が見れて、風も気持ちが良い。しかし、それは自分たちが外から見られているということでもある。歩道を歩く人には奇妙な集団に映ったに相違ない。こんな事をやっているのは日本人だけだろう。(正確に言うと、JCBの運行するバスもあり、それには外国人も少し乗っている。)
時には、このトロリーバスのシステムを知らない中国人や韓国人は、金さえ払えば乗れると勘違いして、乗り込もうとして断られている。不満そうな黄色い顔よりも、黙って見ている白い顔の方が恐いものがある。日本人以外は、決して気持ちは良いものではないだろう。
他国に来て、斯くもあっけらかんと自国民の観光サービスを追及してよいものだろうか。海外旅行に慣れていない国民だといっても、他国の地で日本人旅行者がトロリーバスで嬌声をあげる。まるで劇場バスのようだ。この日本人が繰り広げるハワイ観光なるもの、何か上手く言えないが、きっと恥かしいことのような気がしてならない。自分が降りてみて、歩道から行きかう派手なトロリーバスを見てると、南国なのに背筋にヒャとしたものが走る。とかく日本人は暗いといわれるが、いやいや底抜けに明るい国民だ。見ようによっては周りを気にしない阿呆な国民性である。それをほほ笑ましいと感じてくれる外国人は居るんだろうか。
トロリーバスに乗れなかった中国人や韓国人も、日本に見習って自国のツアー会社専属のトロリーバスを運行するようになるのだろうか?そうしたらハワイのワイキキはアジア系人種のトロリーバスでいっぱいで、いつも渋滞してしまうことになるかもしれない。また、南国ハワイでも、極東三国の対立の火種にならない事をせつに祈るばかりである。