玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

空白の王

2014-04-08 00:17:43 | 近現代史

日本の近現代史は、天皇に人間としての感情や行動があることを明確には言わないので、歴史上は天皇の存在が空白になってしまう。そのため歴史上の歪みが生まれる。孝明天皇が日米修好通商条約を忌避し、攘夷運動を自ら煽ったということを書いてある歴史書は少ない。一般的理解では、条約拒否で幕末日本の世論が沸騰し、それを受けて朝廷・天皇が浮上するというストーリーになっている。孝明天皇は、通商条約は「神州の瑕瑾」で「許すまじきこと」だと述べる。天皇の意を受けて朝廷の公家(近衛、三条、その他の平公家)は条約拒否に動いた。(井上勝生『幕末・維新』岩波新書)そこから尊王攘夷運動が盛んになった原因が生まれたとも言える。一方、「攘夷をとるか、開国をとるか、国論を二分する大問題となり、両派が朝廷に働きかけた」という教科書的表現はあたりさわりはないが、天皇の権力者としての存在が消えてしまう。

ところで、昭和においてはどうなのだろうか。戦後の天皇の「人間宣言」というのは、そう思うと、重いものがある。果たして、人間として戦争をどう考え、どう動いたのか。これもまた、この21世紀にあっても明解ではない。

今年の桜 散るのが早い

コメント (1)
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