泰山鳴動して鼠一匹、多くの税金を使って、国民を選挙に行かせ、内閣で替わったのは防衛大臣一人であった。安倍首相は今回の選挙を行うにあたって、どこに目的があったのか、まったく判然としない。単なるアベノミクスの追認、消費税の延期の承認のためだけに選挙を行ったとは思えない。気にかかるのは、夙に、そして更に、議会が、政治が、国民から遠くなったということだろう。所詮、庶民の眼からは、解散権を振り回して抵抗勢力の出鼻を挫くとか、自民党の内部引き締めに選挙を利用した。長い目では、官僚主導の財政政策に歯止めをかけるために選挙を利用した。いずれも、自民党の幹部連の眼には国民が写っていない。単なる霞が関の赤絨毯の中での権力争いに選挙を使ったとしか思えない。
振り返れば、日清戦争から既に日本には不完全ながら議会があったのだ。それからの日本は、日露戦争、第一次大戦、満州事変、日華事変、太平洋戦争と、どれだけ右傾化して軍国国家に成長して行ったのか。軍部官僚の専断独走に対し、政党も政治家もほとんど抑止力にはならなかった。その間も、ずっと議会があったということだ。ましてや、議会から国民が離れれば、また、政治屋や官僚の独断専制が始まらないと、誰が断言できようか。憂うるべき前触れであると、今回の妙に静かな政情を、そう捉えたい。
先日、何十年ぶりかで湘南平に行きました。