司馬遷の『史書』の「刺客列伝」の章には、「士為知己者死・・・士は己を知る者の為に死す」とある。意味は「男は己の理解者のために命をかける」という事だろう。この文章に、「女為説己者容・・・女は己を説(悦)ぶ者のために容(かたちづく)る」と続く。これは解釈は不要だろう。不思議にも、二千年余の時を超えて、今も言葉が生きている。
同じ章には、趙の国の襄子が権勢を誇った智伯を殺した後、そのしゃれこうべに漆を塗って杯にしたという。千五百年後の日本の戦国時代に同じようなことがあった。あの独創的な織田信長にも手本があったのか。ふーん、言葉は時の空間を簡単に飛ぶ。
◆先日の旅より