玄冬時代

日常の中で思いつくことを気の向くままに書いてみました。

「南京事件」は幻か?

2018-09-26 12:13:38 | 近現代史

渡部昇一氏はこう言った。東京裁判で突如「南京大虐殺」の話が出てきたのは、日本も残虐行為を行ったという事実を連合国が欲していたからとしか思えない。ドイツはアウシュビッツでユダヤ人大量虐殺をやっていた。ドイツとバランスをとるためにも、「何か大虐殺が必要だった」と思ったのではあるまいか。そこでありもしない大虐殺が騒ぎ立てられたのだと。

また、渡部氏は「ニューヨークタイムズ紙では『大虐殺あった』と伝える記事があるが、何十万という数になるものではない。また、タイム誌では万単位で虐殺されたとは書かれていない。当時の南京の人口は多くても25万人だった。ここからも何十万という虐殺は起こりえない」とも言った。

ここまでで来ると、まぼろし派の渡部氏の主張は、何十万人を殺したという大きな虐殺がなかったと言っているのが解かる。したがって、南京の一般人の殺戮がなかったと言っていない。ただ何十万人も殺していないから、大虐殺ではないと言っているのだ。

果たして「南京大虐殺」というのは、殺された人数の規模によって決まるのであろうか?それなら、何十万人を殺したら大虐殺と云い、それ以下ならば、大虐殺ではないのか、単なる虐殺なのか。なんか不毛な問答だよね。

「南京事件」とは、武器を持たない無抵抗な一般の人々を殺したり、家財を略奪したり、女性を強姦したことに対する人間としての罪、民族としての恥が問われている事件ではないのだろうか。

ちなみに、渡部氏は、「ある推定によれば、南京で軍紀違反によって起きた市民の殺傷は49件、傷害44件であったとされる。せいぜいこれが『南京大虐殺』の実体ではないか」と言っている。

だが、支那地区では、1937年177人、1938年1,085人と、その後も終戦まで毎年1,000人以上の皇軍の兵士の軍法会議処刑人員が記録されている。いうまでもなく「南京事件」は1937年12月以降のことである。彼は、この軍紀違反人員の推移との比較はしたのだろうか?

最後に、秦郁彦氏はこう言っている。「南京虐殺は中国公式数字約30万人、台湾の公式戦史では10万人とされている。私は4万人説。うち3万が捕虜の処刑、1万が民間人と考えている。裁判をやらないで大量処刑したのがいけない」と。⇒ハーグ陸戦法規違反〔1889(明治32)年第1回ハーグ平和会議で採択された。〕

【参考文献:『渡部昇一の昭和史』WAC出版、『昭和史の論点』文芸春秋社、戸部良一『逆説の軍隊』中央公論社


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