『昭和天皇独白録』では、「後継首相の人選であるが、9月6日の御前会議の内容を知ったものではならぬ」且つ又「陸軍を抑え得る力のある者」と条件をつけた。
しかし、御前会議の出席者でないと後継になれないという人事があるのだろうか?国民も知らぬ、極秘の会議であったとしても、大本営では大勢の参謀たちが会議資料、記録の作成にあたっている筈だ。後継人事が会議出席の有無で限定されるのならば、もはや此れは官僚機構とは言えない。
【『昭和天皇独白録』文芸春秋より】
この部分を読んだ時から、天皇は屁理屈を云っていると思った。軍部の極端論者が収まらないから武官を総理にするというのは理屈だが、9月6日の会議に出席した者しか後任の総理が勤まらないとする条件つけると、自ずと候補者が絞られる訳である。
この条件で、役不足であるが、東條が浮上する。ただ海軍の及川大将は然したる理由なくダメだという。陸軍は中将から大将へは6年の停年を要したが、東條は中将5年だったが一年短縮させて大将にさせた。どう考えても特別扱いする程の人材とは思えない。
やはり鈴木貞一と東條英機の共謀であろうという疑念はぬぐえない。これは何回も書いている。まあ自説ではあるが、…。【次回へ】
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