キキ便り

アメリカ便り、教員・研究者生活、シンプルライフ、自閉症児子育てなど

繰り返して読みたいサンドバーグ著『OPTION B』

2019-02-06 09:40:55 | 映画・本・テレビなどを語る

 

前も簡単に紹介したシェリル・サンドバーグ、アダム・グラント著『OPTION B』

昨日、図書館で借りたオーディオブックを聞き終えた。

突然夫を失ったフェイスブックのCOOの著者が、いかにその逆境から立ち直ったか、卒直な語りでそのプロセスをわかりやすく説明している。

オプションBの説明として、

「最良の選択肢(オプションA)」ではなく、オプションBを選ばざるを得なくなったとき
その逆境からどう回復すればよいのか。

回復力(レジリアンス)がテーマであり、サンドバーグ氏の体験談以外にも、様々な人が経験する逆境がストーリーとして織り込まれているので、読み応えのある本。

アマゾンに、いろいろな人たちのレビューが紹介されているので、これらを読むと大体の内容は想像つくのではないかと思う。

https://www.amazon.co.jp/dp/B073WQ4ZGF/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

私が特に印象に残ったのは

1.大変な不幸や悲劇を経験した周りの人に対して、よく”Please let me know if there is anything I can do to help you"(何か私でお力になることがあれば、遠慮なくおっしゃってください)のようなフレーズを使うことが多いが、これは、相手にボールを投げてしまうことになり、それよりも自分がこんなことできるけど、と言った方がいいのかもしれない、とのこと。お悔みの決まり言葉がそれ以外にもあるが、自分はいかにも形式的に使っていて、結果的に何も相手にしてあげていない、ということに気づかされた。悲しみにあった人は、悲しみそれ自体だけでなく、ソーシャルサポートを受けられない(周りから放っておかれて孤独)ことで、二重の苦しみを受けている可能性を教えられる。悲劇の真っただ中にいる人に、適切な言葉や行動をかけるのは難しく、相手の気を悪くしてしまうかもしれない、そっとしてほしいと思っているのかもしれない、ということで回りは距離を置きすぎる、ということに気づかされる。

2.日記について。回復力のきっかけになるのは、自分の気持ちを毎日日記に綴っていくこと、というのは、よく聞く話だったが、サンドバーグがご主人の死から6カ月目にさしかかった日に、次の人生に向かって歩もうという意思とともに日記をつけることをやめる。日記をつけること、やめること、考えさせられた。

3.自分に対する批判を恐れない=回復力。Public Speaking (人前で話すこと)が苦手なビジネススクールの教員が、いかに学生からの辛辣な批評を積極的に求め、それらに向き合って、自分のTeaching Skillを磨いていったかという事例に感動する。まず、いろいろなクラスでGuest Lectureをすることを申し出て、その一発勝負の授業の後に評価を書いてもらう。「先生がナーバスなので、それが自分たちにも伝わって僕たちもナーバスになってしまう」などの心痛い意見もあったらしい。その後自分が担当している授業の学生たちに教員評価を匿名で書いてもらい、その中で4つのもっとも手厳しい意見をEmailで他の学生たちにも紹介する。さらに授業で、自分はこれらのマイナス評価に対してどういう風に改善していきたいか、自分は学生たちからどのように学んでいきたいかということをクラスで話しあったらしい。その後、この先生は教員評価の高い先生の一人としてランクづけられるくらいになったらしい。相手の評価を糧として、自分を高めていくというレジリアンスは見習いたい。なかなかできないことである。

次に図書館で借りたオーディオ本は、ジャーナリストAmanda RipleyのThe Unthinkable: Who Survives When Disaster Strikes - and Why である。

Today, nine out of ten Americans live in places at significant risk of earthquakes, hurricanes, tornadoes, terrorism, or other disasters. (今日、アメリカ人の10人に9人は、地震、ハリケーン、竜巻、テロ、その他の災害にあう危険地帯に住んでいる)と書いてある。

この本の感想は後日に。彼女の本、The Smartest Kids in the World: And How They Got That Wayがとっても面白かったので楽しみ。PISAの学力調査でスコアが高かった3つの国の教育事情が紹介されていて、教育関係者だけでなく親、行政や研究者にも必読の本。

 

 

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「家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇」を読んで考える

2019-02-01 15:32:59 | 映画・本・テレビなどを語る

 

今年に入って始めた共同研究の参考になるのではと、仲間の研究者がこの本を勧めてくれた。

岩村曜子さん著書、「家族の勝手でしょ!写真274枚で見る食卓の喜劇」

https://bookmeter.com/books/501962

かなり辛口にまとめられているが、実際このような日本でも家庭がもしかして増えているとしたら、かなりの衝撃。

インスタント、ファストフード、出来合いのお惣菜や冷凍食品。

忙しい共働きの家族にとっては理解できないことはないまでも、子どもの好みのものばかり食べさせる、無理強いしない、子どもの食欲がないから朝食抜き、スナック食品を食事代わり、みそ汁回し飲みというのは、びっくりしてしまった。

以前ブログで紹介したが、私が担当している授業で視聴させているJames OliverのTED TALK, Teach every child about food (子どもたちに食の教育をを思い出す。このビデオの視聴後感想を書かせると、自分の子どもに与えている食事が、彼らの将来の健康だけでなく、その次の世代の子どもたちまで影響を与えるということを知り、衝撃を受ける学生が多い。

受講生は、フルタイムで大学に行き、かつフルタイムで仕事をし、家族の世話をするという3役をこなしている社会人学生が多いためである。また金銭的・精神的な余裕もなく、家族の夕食はほとんどピザで済ませる、ということを正直に書いてくる学生もいる。

本を読んで、日本の母親たちは忙しくても、もっとしっかり家族の食育を考えている、と思いこんでいたのが間違いだったことが分かる。こういう私も、今でこそヘルシーな手作りの食事を作っているが、大学院に通いながら仕事をし、子育てをしていた時期は、そんな余裕がなかったことを思い出す。

しかし、もし子どもの口に入る食事が、身体だけでなく脳や心の働きに大きく影響することをはっきりデータで示されたらどうだろうか。縦断的な研究が行われることで、さらに分かってくること、改善の方法が見えてくると予想される。

この本で代表されている家庭は、もしかして日本の子育て真っ只中の家庭のほんの一部なのかもしれないが、議論のきっかけを作ってくれる面白い本だと思う。

 

 

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Rich People Problemsのオーディオ版

2019-01-17 20:17:32 | 映画・本・テレビなどを語る

映画「クレージーリッチ」で注目を集めたKevin Kwan(ケヴィン・クワン)の三部作。

一部は映画で視聴。二部と三部はオーディオ版を聞く。

第三部は、最初から最後まで波乱に満ちた展開で面白かった。主人公のレイチェルとニックの出番が少なかったことが批判されているが、その代わりにニックの従妹のアストリッド、エディー、キティー、コレットらのドラマが目が離せないくらい面白く演じられている。

スラングの多い文体は読んでいて気分は悪くなるものの、内容自体は面白い。ケヴィン・クワンは、脚本家として成功する素質もあるに違いない。

しかし第二次世界大戦中の日本兵による虐殺や拷問などについても描かれているため、日本人読者としては恥ずかしさの混じった複雑な気持ち。著者を含め、反日感情をもつアジア人がまだまだ多いことに改めて気づかされる。

それにしてもこのオーディオテープの朗読者は、複数の登場人物の国のなまりや育ち、性格などをうまく表現していて感心する。調べたところ、5か国語を話す女優らしい。https://www.imdb.com/name/nm0519642/bio?ref_=nm_ov_bio_sm

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

このオーディオテープは、市立図書館で無料でレンタル。2週間の期限だったが、週間目の今日、聞き終える。

次に借りたのは、 FacebookのCOOシェリル・サンドバーグが書いた 「Option B」

逆境に立ち向かうレジリアンスがテーマ。和訳も出版されている。楽しみ。

 

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心温まる映画、A Dog's Way Home

2019-01-12 19:42:30 | 映画・本・テレビなどを語る

 

A Dog's Way Home、見に行ってきました。ネタばれになってしまうかもしれませんが、こういうストーリーでした。

近所のがれきにこっそり住んでいたネコたちにエサをあげていたルーカス。ある日野良犬の子犬、ベラを見つけます。ベラのお母さん犬は、アニマルコントロールに連れ去れ、ネコのお母さんからミルクをもらって生活していたのでした。しかし、この子犬を飼うのには、大きな問題がありました。Pit Bullの血が混じった犬だったのです。このコロラド・デンバーの地域では、この手の犬は、危険な犬として飼うことを禁止されていたのでした。アニマルコントロールに見つかってしまい、仕方なく、ガールフレンドの親せき?のニューメキシコ州の家にしばらく預かってもらうことになったのです。しかし、ルーカスが恋しいベラは、家に帰ろうと脱出を図ります。狼に襲われそうになったり、空腹、寒さ、拘束、交通事故など様々な困難を経て、400マイルもの距離を2年半かけて旅します。最後の再開は、涙なくしては見れません。

この映画を見て、Pit Bullに対するイメージが変わりました。今までは危険な犬だと思い込んでいたのですが、訓練と愛情次第ではそうとは限らないことが分かりました。Pit Bullを飼っている人たちにとっては、こういう映画が作られて、スティグマ解消につながったのかもしれません。

この映画は、ブルース・カメロンのベストセラー本、A Dog's Way Homeに基づいて制作されていますが、カメロン氏の次の本は、ビーグル犬が主人公のようですね。私が以前飼っていたビーグル犬、シェークスピアのシェルターでの名前(私たちが引きとる前の名前)がトビーで、それと同じ名前のビーグル犬の本なので楽しみです。

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こんまりさんがNetflixに登場

2019-01-02 14:04:47 | 映画・本・テレビなどを語る

こんまりさんのお片付けのリアリティー番組が、1月1日よりNetflixでスタート。

昨日から放映が始まったNetflixオリジナル番組 ”Tidying up with Marie Kondo”(KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~)の第一話、早速見てました。

第一話は子育て真っ最中の若い夫婦。

奥さんが洗濯が大嫌いで、家政婦さんに来てもらいやってもらう程なのですが、エピソードが進むに連れ、カップルの関係も前向きに変化していきます。

ガレージを整理していくうちに、結婚式のCDや写真が出てきたり、カップルにとってロマンスを再発見する機会にもなったようです。

こんまりさんご自身が、子育て経験者ということもあり、上から目線ではなく、カップルにとっては親しみやすい存在だったようです。子どもたちも甘えて、抱っこしてもらったりしていました。

通訳の方も、出すぎずにサポート役に徹し、場の雰囲気が毎回和やかだったのも良かったです。

それにしてもこんまりさん、考えをはっきり直接的に相手に伝えるところが日本人離れしていて、それが外国でのコンサルタントとして成功している鍵なのかもしれません。

https://www.netflix.com/title/80209379

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大坂なおみ選手に心から感動しました

2018-09-09 18:52:03 | 映画・本・テレビなどを語る

大坂なおみ選手の全米オープンの決勝戦。

私もテレビで実況中継を食いつくように見ました。

途中、ペナルティーを受け続けたセリーナの主審への抗議の様子、感情を抑えきれない行動には、びっくりしてしまいましたが、短気で気の強いところが、彼女の長所でもあり短所なのかもしれません。

以下はLivedoorからの引用です。http://news.livedoor.com/article/detail/15279315/

”ブレークバックを許した第2セット第5ゲームで、フラストレーションからラケットを地面に叩きつけ、破壊したセリーナ。この行為に対し、この日2度目の警告を受けたセリーナは、客席からのコーチングの疑いで受けた最初の警告への不満を口にしながら主審に向かって「私は人生で一度たりとも不正を働いたことなんかない。あなたは私に謝罪する義務がある」と詰め寄り、自身の要求に応じないとみるや、「謝りなさいよ。悪かった、って言いなさいよ!」と鬼の形相。2度目の警告により第6ゲームで1ポイントを失うと、「あなたは私からポイントを奪った。盗っ人でもあるわね」と言いたい放題だった。

 さらに、3度目のペナルティーで第8ゲームを戦わずして失ったことを知ると、あきれたように笑いながら「冗談でしょ?」。しばらくして現実を受け止めたのか、今度は涙を浮かべて「こんなのフェアじゃない。不公平すぎる」と何度も繰り返し、プレースタイルそのままにコートサイドでも感情をあらわにした。四大大会通算23勝の元世界女王は最後まで冷静さを取り戻すことなく、16歳下の大坂にストレートで敗れた。”

こういう状況の中、大坂なおみ選手の最後まで感情に流されず、理性を失うことない集中したプレーに感動しました。それだけでなく、もっと感動したのはなおみ選手の表彰式での様子です。

セレーナとそのファンの感情を考慮してか、嬉しい顔を一つせず、下向きで困った様子がテレビに映し出されていました。観客の皆さんがセリーナを応援してるのを知ってました。今日試合を見に来てくれて本当にありがとうございます、といった自分を出さず相手を気遣う謙虚な態度、多くの観客の心も捉えたのではないかと思います。

表彰式の写真撮影でも、マスコミ慣れしていない彼女の姿が初々しく映りました。控えめなその姿が、日本人の美徳のように思いました。将来が楽しみです。

 

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児童書The War That Saved My Life を読む

2018-08-31 14:53:02 | 映画・本・テレビなどを語る

8月に入って、オーディブルで児童書The War That Saved My Life を聞き始めました。

アメリカ合衆国における最も優れた児童文学の著者に与えられる賞、ニューベリー賞の佳作(Honor)を得た本です。

機会があれば、ニューベリー賞に輝いた児童書を読むようにしていますが、これも大変面白く考えされることの多い本でした。

舞台は、第二次世界大戦のイギリス。小さい頃からClub Foot (先天性内反足)でそれゆえに母親から身体的、精神的な虐待を受け、アパートに閉じ込められていた主人公のエイダが、戦争がきっかけに脱出する機会を得ます。その頃は、イギリスの子どもたちは田舎のケントに疎開させられていたのですが、エイダは弟のジェイミーが疎開する日を目指して歩行訓練を母親には隠れて毎日行い、どうにかケント行きの列車に乗ります。疎開先では、足の悪いエイダと弟をペアで受け入れてくれる家族はいなかったのですが、最後に残った二人が連れられたのは、スーザンの家。オックスフォード大学で教育を受け、牧師の家庭に生まれたスーザンも、悩みと傷を抱えていました。スーザンと子どもたちが、どのように心を開いていくのか、また乗馬によってエイダが心のよりどころを見つけていくことにも好感が持てます。

残念ながら和訳はされていないようですが、虐待を受けた子どもがどのように周りを信じて、愛を受け入れる子どもへと変わっていくのかということが良く描写され、そのために必要な忍耐や限りのない愛情などについても教えられました。

続きの本、The War That Finally Wonも思わず読んでしまいました。二作目の方がよかったようにも思います。

オーディブルで聞くと、ブリティッシュイングリッシュの朗読が聞けます。綺麗な英語なので、聞きほれてしまい、声優であるJayne Entwistleの大ファンになりました。

Susanの子どもたちへの言葉かけが、一貫性がありかつ愛情に溢れており、私も見習おうともう一度聞いています。

https://www.amazon.com/War-That-Saved-My-Life/dp/B00QTTUZDI/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1535746586&sr=8-1&keywords=Kimberly+Brubaker+Bradley

 

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Crazy Rich Asiansの感想

2018-08-21 22:22:12 | 映画・本・テレビなどを語る

 

先日、ロマンチックコメディー「クレイジー・リッチ!」(邦題)を見てきました。

とっても見ごたえのある映画でした。週末の北米映画興行収入ランキングでは初登場一位だったそうです。

全てアジア系の俳優、女優で固めた映画だけあり、どれだけ視聴率を得られるか大変に気になっていましたが、観客はアジア系だけでなく、白人や他のマイノリティーグループにもアピール性のある映画だったようです。

アメリカが世界の中心で「アメリカナンバーワン」と信じ続けている人たちにとっては、かなりショッキングな映画だったのではと思います。映画ではモダンできらびやかなシンガポールが舞台となっていますが、おそらくシンガポールという国が存在することも知らないアメリカ人もいることでしょう。もちろん中国に対するイメージも、覆されたのではないかと思います。そう考えると少し前に公開された中米合作映画のメグといい、中国はハリウッドで存在感を高めている印象を受けます。

映画の中心のテーマは、Asian Americanのアイデンテティー、文化をめぐる世代間の摩擦、フェミニズム、など様々あるように思いますが、最初から最後まで笑わせてくれる登場人物のやりとりというのが、一般受けする魅力なのかもしれません。エレガントで美しいアジア系女優たちの身のこなし方にも見惚れます。ぜひお薦めです~。

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「小保方晴子日記」の感想の続き

2018-06-22 11:16:03 | 映画・本・テレビなどを語る

「小保方晴子日記」の感想の続き

これはあくまで、不正の真実抜きにした第三者としての読後感である。

・マスコミからこれだけのバッシングがあったというのは、彼女がまだ若く女性の研究者、いわば日本社会の中ではoutlier的な存在であったからだと感じる。もし男性で中年の研究者に起こった事件であるならば、話題性をキープするのが難しかっただろう。ニュース記事の中で、顔写真が異様に多いような印象を受ける。また瀬戸内寂聴氏との対談でも述べていたが、男性の嫉妬の恐ろしさが文面ににじみ出ている。男女平等に関しては、国際社会で韓国の次に遅れをとっている日本は、彼女のような若く才能のある女性研究者は生きにくい社会のように思われる。

・地獄のような毎日の中で、研究に対する情熱を存続するために、ホームページを立ち上げることを始めたが、サイバー攻撃にあい、続けることが困難だったようである。日本だけでなく、他の先進諸国でもそうであると思うが、人に危害を及ぼす目的ではない情報発信は認められるべきであると思う。もし人を叩くことで優越感を覚える人がいるなら、そのエネルギーをもっと建設的なことに使って欲しいと思う。

 

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最近の仕事のこと、「小保方晴子日記」の感想など

2018-06-15 10:38:26 | 映画・本・テレビなどを語る

来週から、夏の集中講座が始まる。

3週間前に家を売りに出し、毎朝1時間は家の掃除や整頓で過ぎてしまうが、今週は二本の論文をジャーナルに送ることができた。

一本目は、「修正・加筆」と判定の出た論文で、1か月近くで書き直した。別のジャーナルで2回不採択になった論文なので、今回はぜひ通って欲しい。

二本目は、夫との共著。夫の博士論文を基にして書いた論文だが、論文執筆に気の進まない夫に代わって、私がまず草稿を書いた。これも一回目は不採択になったが、査読者のコメントを参照に全て書き直し、別のジャーナルに投稿した。夫にとってはおそらく最初で最後の論文執筆だと思うので、うまく採択してもらえるようにと願っている。

論文書きと並行し、日本語の本を幾つか読書。そのうち一つは「小保方晴子日記」である。彼女のニュースは、時々新聞で読んでいたが、著書を読むのは初めて。真実については賛否両論があるようだが、この本を読み応援したくなった。すさまじいまでのマスコミからのバッシング、上部からの圧力としか思えない不条理な博士号はく奪、恩師を含めて周囲からの裏切り、など、どんなに辛い日々を送ったかと思う。壮絶な日々の様子が具体的に描かれており、終わりの方ではマスコミに住居をつきとめられて、毎日ドアをたたかれるといった拷問に近い日を過ごす。周囲の助けもあり、無事に隠れ家に移動することができ、「引き戸をあけると「よく生き延びてくれた」という涙声が聞こえた」というところで日記は終わっている。

本を読んだ印象では、彼女が受けたのは「いじめ」であり、それに対応する内なる強さと知性があるからこそ、余計いじめられるという日本社会の構造があるのではないかと思う。マスコミが味方ではなく敵になってしまうことが多いというのは、どこかねじ曲がっている世の中なのではないかと思う。

日記の中では、うつだけではなく、頻繁に「気絶」し、悪夢を見たり、暴食を繰り返してきたという毎日が描かれている。しかしその中でも、好きな料理をしたり、英語のドラマを見ることで気分転換してきた様子もうかがわれる。書く作業についても、現実直面と逃避の二面性をもつと思うが、時には徹夜で書き続けることで、出口が見えてきたということも読み取れる。いつもそばにいて支えてくれた親友やお姉さんがいたことも救いになったのではと想像する。

私個人としては、彼女の将来が楽しみだ。瀬戸内寂聞さんとの対談で「この先は辛い経験をして、味方がいないと思っている人の気持ちに寄り添えるようでいたい。私には力もなく、何ができるのかわかりませんが」と述べたのは本音だと思ってる。瀬戸内氏の「あなたは必ず蘇ります」の言葉にあるように、辛い経験やその中で得た知見を武器にして、再び花開いて欲しい。

 

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Tara Westoverの自伝を読む

2018-06-01 20:44:44 | 映画・本・テレビなどを語る

ニューヨークタイムズベストセラー本、Educated:A Memoirをオーディブルで聞き終えた。

南アイダホのBuck Peakで献身的かつ狂信的なモルモン教信者の娘として育ち、終末論を信じかつ公教育や医療制度全てを否定する父親のもとで過酷な少女時代を送ったTaraが、最後はケンブリッジ大学で博士号を授与されるに至るまでをつづった自伝だ。

しかしこれは単なる成功物語ではなく、最後の章に至るまで、彼女が両親や虐待を続けてきた兄から受けた心理的苦痛と向き合ってこれからも生きていかなければならないという現実が残されている。

父親は、古自動車などの廃品置き場(ジャンクヤード)で使えそうな部品を集めて生計を立てており、母親は助産婦(最初は全く乗り気ではなかったが、夫の命令に屈した)で、後には病気や怪我を治癒するエッセンシャルオイルのビジネスを開始。Taraとその兄弟たちは幼少の頃から父親の危険な仕事を手伝わされ、怪我をしようが、「神のご計画」ということで病院にも行かず母親が治療。公教育や医療システムに対して猛反対な父親の影響で、学校に行かせてもらうことはなく、また出生証明書もないといった状態であった(9歳でやっと入手)。母親は最初はホームスクーリングをするつもりでいたが、夫の反対で次第に子どもたちを教育することを諦める。子どもたちが唯一読むことができる本は、モルモン教関係の本であった。最初はテレビもない家であったが、2000年に世紀が変わることで世界終末を迎えると信じきった父親が(そのために燃料や食料を地下に保存)、皆が滅びる様子を見るためにテレビを購入。

話の中心は、兄のShawnによる身体的かつ言語的な虐待である。その暴力的な行為は、Taraだけではなく、Shawnのガールフレンド、妻、姉、飼い犬(殺されている)まで及んだが、両親は見て見ぬふりをし、かつTaraの妄想だと責任を彼女に押し付けるところが彼女を生涯苦しめることになる。兄は彼女のことを「売春婦」と呼び、父親のジャンクヤードの仕事で真っ黒になった顔を見て「Nigger(黒人を軽蔑する言葉)」とニックネームをつけ、精神的・身体的な苦痛を与え続ける。ある時は、イギリスにいるTaraに電話をかけ、「相談があるんだが、お前を直接殺そうか、暗殺者を送って殺そうか迷っているんだ」というところなど、凶悪極まる虐待である。同じく虐待を受け続けた姉は、そのことを両親に話してShawnに対して立ち向かおうとした行動によって、銃を頭に突き付けられている。その後、姉は、自分の命を守るためか、Taraの父親やShawnに服従する道を選び、Taraを批判してもう二度と会いたくないとメールを送ったことが、Taraをとてつもなく傷つける。

話はさかのぼるが、Taraはサバイバルのために、Buck Peakを脱出しようと大学に行くことに決める。教育を全く受けたことがなかったが、自学、かつ兄弟や友人の助けでACT(大学入試のための共通試験)を受け、見事モルモン教の大学、Brigham Young Universityに合格。17歳の時である。しかし全く世の中を知らなかった彼女は、ルームメートとの衝突(冷蔵庫の食べ物が腐っていても気にしない、トイレを使用後、石鹸で手を洗わない、使った食器を洗わない)、教科書というものがあることを知らなかったり、ホロコーストについて初めて授業で聞いた彼女が「ホロコーストって何ですか?」と質問し、悪い冗談だと思われたりなど、大学においては全くの異端児であった。しかし彼女が少しずつ世界を広げていく様子が見事に描かれていて、読んでいて面白かった。

特に Taraの幼少期に起こった事件、モルモン信徒のRandy Weaver の事件(FBIに息子と妻を殺される、その後裁判に勝利し大金持ちとなり有名人となる)が、父親の説明と全く違うことに気づき、そこで自分が住んでいた世界がいかに屈折したものであるということが少しずつ分かってくる。また心理学の授業で「双極性障害」について知り、自分の父親がそうであることを直感する。また妄想癖があるなど、「統合失調症」の傾向もあるようである。後に母親も、夫が双極性障害であることを認めているが、夫の世界観に従い、子どもたちにそれに応じるように強く働きかけるところなど、母親の罪が一番問われるのではないかと私は考える。しかし、これも歪んだ世界観の中では、正当化されてしまう。「フェミニズム」についても、Taraだけでなく、周りのモルモン教信者の葛藤が、本の中では描かれている。

Brigham Young University在学中、質問(確か、女性の生き方についての質問だったかと思う)のためにドアをたたいた大学の教授から、ケンブリッジ大学での短期留学(Study Abroad)を企画しているが応募してみないかと誘われる。そして短期留学中、Taraを指導したケンブリッジ大学の教授が、彼女の才能に気づいたことから、Cambridgeの博士課程で勉強してみないかと呼びかけたのが 彼女の研究者としての人生の始まりである。ケンブリッジ大学の教授の強い勧めと推薦で、競争率の高いGates Scholarshipに応募、見事彼女に奨学金が寄与されることになった。このことは、大学のニュースにも掲載されている。

https://news.byu.edu/news/third-byu-student-5-years-wins-prestigious-gates-scholarship

ケンブリッジの大学院在籍中には、ハーバード大学からもVisiting Fellowとして勉強する機会が与えられたが、兄Shawnの虐待をめぐる家族との争いで、精神的に追い詰められ、全く勉強に打ち込める状態ではなかったことが描かれている。

この本が出版されたことで、家族は名誉棄損を訴えており、決着はつきそうもない。しかし母親のエッセンシャルオイルビジネスは、今でも存続し、泊りがけのワークショップなど行っているようだ。(本の内容は、オーディブルで聞いたため、少し間違っているかもしれないことをお断りしておきます)。

https://butterflyexpress.net/welcome/story

Taraのインタビューである。

https://www.c-span.org/video/?441167-1/after-words-tara-westover

Taraの生まれ故郷の写真である。

(https://www.thenational.ae/arts-culture/review-educated-is-a-modern-fairytale-that-charts-one-woman-s-extraordinary-trajectory-1.709336より抜粋)

 

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犬ケ島(Isle of dogs) を視聴

2018-04-18 11:57:21 | 映画・本・テレビなどを語る

先日、息子と夫と一緒に今話題の映画、犬ケ島 (Isle of dogs)を見に行ってきました。日米合同のアニメーション映画で、監督は、数々の賞を受賞した映画「グランド・ブタペスト・ホテル」の監督として知られるウェス・アンダーソンです。

日米の著名な俳優が数多く声優として出演しているのも見ものですが、優れたユーモアのセンス、お見事でした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8A%AC%E3%83%B6%E5%B3%B6

どの場面で笑うのか、文化のセンスによって違うようです。例えば俳句などの日本文化に詳しい夫は、他の観客よりもユーモアを理解していたようで、笑いっぱなしでした。ところどころ、日本文化の本物らしさを観客に感じさせるためか、わざと英訳していない場面が多くみられ、日本語の分からない人にとってはフラストレーションを感じさえる映画なのかもしれません。でもこういう映画もあってもよいのではと思いました。

アニメということで小さい子ども連れの家族などもいましたが、意味が理解できないためか、途中で集中できずうろうろしている姿も見られました。

ダイバーシティーの授業を大学で1年に一度講義しているのですが、この映画を学生に見せて、自己の異文化体験について感想を書かせると面白いのではと思いました。お寿司を食べたことがない、という学生が意外と多いのです。

レビューは非常に高く、Rotton Tomatoesでは91%, IMDb 8.1 です。

https://www.rottentomatoes.com/m/isle_of_dogs_2018/

 

 

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「時をかける少女」

2018-03-27 20:06:40 | 映画・本・テレビなどを語る

 

3週間近くオットが留守なので、食事をしながら他愛のない映画を見たりなどしています。

たまたまAmazon Primeで見つけたのが、2010年の映画の「時をかける少女」。芳山和子の娘が今度は主人公ですが、ケン・ソゴルという懐かしい名前も出てきました。

「時をかける少女」は、もともと私が10代の始めだった時にテレビでシリーズで放映された人気番組でした。この作品のもとになった本の作者、筒井さんのサイエンスフィクションの本も何度か図書館で借りて読んだ記憶があります。

学校の理科室とラベンダーの香りという設定が、とってもインパクトが強くて、大人になってからも忘れないで覚えているスト―リーの一つです。庭にラベンダーの鉢植えがあるのですが、このお花が私の家なんかに咲いていていいのだろうか、っていう思いになることがあります。ラベンダーのエッセンシャルオイルを、使うのがもったいない気がするのも、「時をかける少女」のせいかもしれないですね。

今回の2010年の映画は、私たちの70年代の生活や文化を思い出させるような小道具がところどころ使われていて、ヘアースタイル、服装、音楽など懐かしかったです。かぐや姫の「神田川」とか。私の中学生時代など全く想像ができない娘にタイムトラベルをしてもらうために、映画のリンクを送りました。アニメでもあるようですね。

 

 

 

 

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ジョーダン・B・ピーターソンのベストセラー本を読む

2018-03-12 16:06:08 | 映画・本・テレビなどを語る

ジョーダン・B・ピーターソン氏について初めて知ったのが、たまたまジムでエクスサイズした時に見ていたFoxニュースのインタビュー。1か月前のことである。

インタビューの中では、二つのポリティカル・コレクトネス「政治的に正しい」についての事件が取り上げられていた。まずカナダのジャスティン・トルドー首相が、対話集会で発言に立った女性をさえぎり、「人類(Mankind)」の代わりに、「peoplekind」とするべきだと修正させたことについてのコメント。首相が、発言中の女性の言葉をさえぎり、言葉尻をつかんで修正させたこと、そのやり方が傲慢であったことをピーターソン氏はものおじせずに述べたことに好感を抱く。またニューヨーク市で、「父娘のダンスパーティー」の企画のキャンセル(性や家族の多様性を認めないという理由で)が相次いでいるというニュースについても、このままでいくと全てが「差別」ということで評価され、何もできなくなる、そのような将来に対して非常な危機感をもつことをインタビューの中で伝えている。

このインタビューを見た時に、本来の意味から離れてしまったダイバーシティー政策や観念に対する私自身の懸念を代弁してくれただけでなく、その言葉の巧みさと謙虚さ、勇気に衝撃を受け、早速Youtubeビデオを探し (https://www.youtube.com/watch?v=Jd0uYnD1RQ4)、夫に紹介。翌日、彼の本をオーディブルで購入。二人で毎日朗読を聞いている。

ちなみにピーターソン氏はハーバード大学で教鞭をとった経験をもち、現在はトロント大学の教授である。それだけでなくYoutubeでの動画が大人気であることから、処世術の本『12 Rules For Life』を書くことになったというのがきっかけである。彼の本は、現在アマゾンの「もっとも読まれている本」の1位である。

日本語でも紹介されているので、参考までに。この本の感想はまだ今度。

https://nikkan-spa.jp/1451538

 

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オーディオブックーThe Power of Vulnerabilityーその3

2018-03-02 16:11:16 | 映画・本・テレビなどを語る

昨日の続き。

くたくたになるまで働き、どれだけ忙しいかがステータスシンボルになっている価値観の弊害について考えてみる。

前にも紹介したが、以前大学院のライフコースの授業で学んだRileyの「Age differentiated」to「Age integrated」の社会構造の違いを思い浮かべる。

Age Differentiatedというのは、人生始めに「教育」、半ばには「仕事」、老後には「余暇」というように年齢ではっきり社会的役割が決められている社会。現在の日本にあてはまる。

Age Integratedというのは、「教育」「仕事」「余暇」が同時並行で人生の始まりから終わりまで進められていく構造社会。これからの社会は「生涯学習」や定年退職の延長、労働時間の減少(たとえば週4日労働)など、ライフコースがフレキシブル化されることが予想されるが、実現には時間がかかる。ブラウン氏が提言するような、仕事をほどほどにし「ゆとり」をもつライフスタイル、あるいは本業以外の「自分の好きなこと」を自分のアイデンテティーとして自分も周りも受け入れることができるような価値観は、はるかなる夢の彼方に存在するかのようである。

ブラウン氏は、予定が空いていても講演依頼の約8割はお断りするそうである。ブランクの時間ーいわゆる自分の時間、家族との時間を優先することにより、自分も質の高い仕事ができるということであるが、これは危険を伴う選択である。断られた側は、失望するだろうし、傲慢な人とも受け止められる可能性もあるだろう。世評にもつながるだろうし、相手に申し訳ないという気持ちも生まれるかもしれない。相手に嫌われたくないために、つい無理やり「イエス」と言ってしまい、怒りの気持ちを持つよりは、なぜ引き受けることができないことを正直に伝えること方が「本物」であると述べている。その例として、子どもの習い事のベークドセールで、ブラウニー(チョコレートケーキ)を焼いて持ってきてくれるように頼まれた話を取り上げ、無理して引き受ければ、家族に当たり散らし、また依頼者にも恩着せがましい態度をとってしまう可能性があること、それよりも真意をもって丁寧に断った方が良いのではということ。またゆとりをもって生活している人は、そうではない人に敵愾心を持たれやすいことも話の中でほのめかしている。

忙しくしていることで、仕事をしている気になってしまう風潮(私も含めて)を考え直させてくれる機会になった。

(テープの内容を詳しく記憶しているわけではないため、内容を若干取り違えている可能性もあります。悪しからず)

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