キキ便り

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自閉症者支援と理解を目的とした講義

2021-05-15 01:51:39 | 自閉症アメリカ教育事情

今年の春も自閉症者支援と理解を目的とした講義に参加。

この会は、共同研究者の先生が主催して行っているので、

なるべく時間を作って、参加するようにしている。

毎回、3名のパネリストからの話題提供があり、

当事者である息子が参加したのは2回。

2回目の時は、パネリストたちが、アメリカでもトップ企業の人たちで、自閉症者やアスペルガー障害者を積極的に採用しようとしていることを、その人達の口から直接聞き、

自分の自閉症をニューロ・ダイバーシティ(neurodiversity)として前向きに受け入れる機会になったらしい。

 

今年の会では、

パネリストの一人は、石油会社に勤務している若い当事者の方で、

これまでの学校教育の中では、人に受け入れてもらえず苦労したけど、

そういう自閉症者のためのインターンシップを経験しながら、今は正規に採用され、

仕事を一生懸命している、というようなことを話してくれた。

ただ質疑応答になり、

会場から誰も質問が出ず、沈黙が続いた時

彼の上司が、手を挙げて、自分はxxxさんの上司だけど、本当によくやってくれている。彼のこれからの成長や可能性に多いに期待している、というようなことを、言葉を選びながら具体例を交えて5分くらい話してくださり、涙が出る程、感動した。

その上司が語っている時のxxさんの笑顔、忘れない。

それだけでなく、人事部のスタッフも、同じように皆の前で、xxxさんの良いところ、会社として期待している、というようなことを語り、

障害を理解し、温かくサポートしてくれる同僚や上司がいることが、

どんなに重要であるかを確信することができた。

 

そのような感想を、私の共同研究者にメールで送ったところ、

「来年は、K君(うちの息子)にパネリストになってもらいたいんだけど」との打診。

息子は、少し考えさせてほしい、ということだったが、

いつか自分の苦労話を回りに語るレベルまで成長できたら、どんなに頼もしいかと親として思う。

 

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自閉症児の興味から趣味への発展

2021-05-15 01:22:59 | 自閉症アメリカ教育事情

息子は小さい頃から電車が好きで、

自閉症児(者)の特徴の一つ「限局化された興味」にまさに当てはまっていたが、

なるべく親として、その興味を支え、広がるように、務めてきた。

その一つが、旅行。

日本には、二年に一度里帰りし、アメリカもミズリー州に住んでいた時は、シカゴやセントルイスなどによく遊びにいった。

記憶に残っているのは、

ある年の里帰りの1日目。

千葉に住む妹の家に滞在させてもらったが、

その日は朝からいろいろな地下鉄線を乗りまわったのが楽しかったのか

「アメリカに帰りたくない」と夜大泣き。

到着したその日から、もう帰る日のことを考えていたのが、不憫だったけど、

日本はなんて楽しいところなんだと、思ったらしい。

またある時シカゴに3日間旅行に行った時も、

行く時は、「シカゴ、シカーゴ」と車の中で歌い、

帰りは、家に戻るのがショックで、「ボク、車から飛び降りて死ぬ」との大騒ぎ。

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息子の列車への興味は、飛行機や旅行へと発展し、

今エンジニアとして就職したのも、航空機などを扱う会社。

それだけではなく、

就職してからは、1か月に1度の割合で「一人旅」に出かけ、

ディスカウント航空券をゲットし、

クレジットカードに加入して、その特典でカンクンの「オールインクルーシブ」(食事や飲み物、アクティビティ等が全て無料)のホテルに泊まったり、

その地域ごとの名所や有名なレストランをうまく見つけては、楽しんで帰ってくる。

 

旅を重ねるにつれて、ノウハウが分かってくるようになり、計画を立てるのも、うまくなってきた。

その息子に教えてもらって、

グローバルエントリーのパスを取得し、

去年末はものすごい格安でカンクンに行き、

行けるかどうか分からないが、一人往復で300ドルもかからないヨーロッパへの航空券も入手。

 

「限局化された興味」を職業や趣味に発展させるのは、やはり周りのサポートが大切だと思う。

テンプル・グランテンの講演、映画著書と出会えたのも、そう思うようになったきっかけだったのかもしれない。

 

 

 

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