よし坊のあっちこっち

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日本人の舌のこだわりが偽装を生んでいる

2014年04月25日 | いろいろ
日本人が味にうるさいのはつとに有名だ。その程度は尋常ではないレベルと言ってもいいだろう。ひとつの新製品が出ると、間もなくしてそのバリエーションがどっと出る。食べ物の領域では、値段より味が優先するから、高くても日本人の購買意欲は旺盛だ。小金持ちの日本人は日々味に投資しているようなものである。その点、アメリカ人は食にそれ程の情熱をかけない。味音痴と言ってしまえばそれまでだが、確かにアメリカに住んでアメリカ食を食べると美味しいとは言えない。味音痴のアメリカ人といっても、アングロサクソンやゲルマン系のアメリカ人が中心で、ユダヤ系は舌が肥えているというのが定説である。

さて、日本人もアメリカ人も食べ物に関して日々出くわすのが”XX期限”という期限表示だ。アメリカではSell ByとUse By(Best By)の二表示がある。日本はかつては製造年月日を基本とし他独自の方法をとっていたが、アメリカその他の諸外国から貿易障壁と指摘され、外国ルールに変更したが、それでも若干のニュアンスの違いもある。日本の賞味期限はアメリカのUse Byにあたり、いずれも長期保存出来るものに付されている。日本の消費期限は生鮮物などの長期保存が効かない物に付されており、この期限までに食べることを教えている。これに相当するアメリカのSell Byは販売者の視点で管理され、消費者が購買後数日で消費されることを念頭に置いた設定なのである。

最近は沈静化した日本での食の偽装だが、事件として発覚する度合いはアメリカに比べるとはるかに多い。その理由を考えていくと、日本人の高くても”より新鮮で新しく、美味しい”ものを求める、味への執着が偽装を生むひとつの原因になっているのではないかと思えてならない。なにしろ、日本人消費者の消費期限や賞味期限に対する注目度は凄い。消費者が安くてより美味しいものを求めるのは決して間違っていないのだが、その飽くなき追求にコスト的に耐えられなくなった提供側はどこかで悪魔の囁きに魅入られてしまうのではないだろうか。