よし坊のあっちこっち

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女性大臣辞任に見る政治風土と成熟度

2014年10月20日 | アメリカ通信
女性経産大臣の辞任会見を見たが、いろいろな意味で大変興味深い。とりわけ、今の日本の政治家や政治システムの成熟度がどの辺にあるのかが良く分かり、決まって取り沙汰される”日本的政治風土”という曖昧さが霧のように全体を包み、その曖昧さを晴らす力が働かない。

二世議員が悪いとは思わない。親と同じ道を志す子供が居たとすれば、そういう雰囲気の中で育つことはむしろ大きなプラスになるはずだ。加えて、親の地盤を引き継ぐとなれば、既に出来上がっている組織を貰うわけで、これほど楽なことはあるまい。しかし、これが落とし穴となるから、気をつけないといけないが、この女性議員は見事に嵌ったといえる。

父親の急死で急遽担がれ議員に当選したのだが、当然取り仕切ったのは地盤を形成する後援会とそれを束ねるボスである。しかも、親の代から仕えていたボスともなれば、担がれ議員であれば、恐らく何も言えまい。当世、カネの問題はボンクラ議員でも一応気にする案件だが、今回の騒動は個人商店の二代目が昔からの大番頭に任せきりで、問題が発覚して呆然としている様である。

興味深いのは、会見で第三者委員会に調査してもらうと述べたことだ。今時流行りの第三者委員会ではあるが、今回の意図は少し違うような気がする。そこには、信頼していた取り巻きに裏切られたという悔しい思いがありありと見え、きっぱり取り巻きと決別するには、この方法しかあるまい、と考えたのではないだろうか。

過去の政治とカネの問題で”身体検査”をやるようになったとはいえ、今回の大甘ミスが露呈すると、実際の効果は余り期待出来ないことになる。日本的政治風土のなせる業ということになり、いつまで経っても一向に改善はされまい。この点アメリカとはシステムと政治風土を大きく異にしている。

アメリカでも議員になった後に不祥事で叩かれることはあるが、殆どは選挙戦の最中に対立陣営やメディアが”禊”案件を公にして叩く。候補はいちいち説明し、世論を納得させる説明が出来なければ、途中で選挙戦を降りる羽目となる。選挙戦には公開討論もある。討論で目が泳ぐような答弁をしようものなら、翌日のニュースで早速取り上げられ、選挙戦に大きなマイナスを招いてしまう。こうして禊を受け、ハードルをクリアした者のみ、最後の戦いに挑む資格を得るわけで、日本の甘ちゃん候補とはえらい違いだ。

選挙戦撤退の時も、堂々とした撤退宣言のスピーチを行う。そこには議員然とした姿を見ることが出来る。その点、今回の女性議員の会見は、言葉に詰まり、目は泳ぎ、素人然とした姿で、きっと、この人は議員には向かないのだろう。大臣候補に取り沙汰されていた時、メディアは将来の初女性首相候補だと囃していたが、そういう見方はどこから来るのか。不思議な不思議な日本の政治とそれを取り巻くメディアのレベルが垣間見れる。