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移民の国アメリカの現実

2017年02月13日 | アメリカ通信
日本では少子化による人口減少、それによる将来的な労働力不足が叫ばれて久しい。いや、現実には既に労働力不足はあちらこちらで起こっているが、国も企業も有効な手を打てないでいる。人が足りなければ外国から、と言うが、独特の島国文化を育んできた日本は外からくる”よそ者”に対しては寛容ではなく、それ故に外国人にとっても居心地は決してよくない国だから、移民政策が極めて難しい国であろう。

それにひきかえ、移民によって造られたアメリカ。今も一定数の移民が毎年のように押し寄せてくるこの国では、移民政策は常に国家の重要な政策のひとつとなっている。そんなアメリカでも、少子化とまではいかないが、気になる人口の減少が起こっており、日本とは違った意味で、目の離せない問題なのである。

2016年の調査によれば、人口増加率は1929年の株価大暴落に端を発した大恐慌時代の1930年代以来最低を記録し、0.7%増にとどまったとのこと。主因は、ベビーブーマー世代の死亡増と若い世代の出産率減少による。アメリカでも若い世代では昔ほど子供を産まなくなってきているのである。

アメリカは州をまたがった国内移動も多いが、”移民の国”の看板通り、海外からの移住組も多い。全米34州で州外からの国内流入組を海外からの移民組が上回り、メリーランド、マサチューセッツ、ロードアイランドでは、移民が無ければ実質人口減になっていた。アメリカの移民の数は、人口増加の45%を形成していると言うから、移民はこの国では日本では考えられない程重要な位置づけにある。

人口減の激しい州は、成長率マイナス0.54%のウェスト・バージニアを筆頭に、イリノイ、バーモント、コネチカット、ワイオミング、ペンシルベニア、ミシシッピ、ニューヨークと続いている。大都市シカゴを擁するイリノイでは37500人が州外へ出て行った。地図でどこにあるのだろうか、と探してしまう影の薄いウェスト・バージニア。嘗て炭鉱産業を支えていたこの州は、あちらこちらに昔の面影を残しているが、人が流出するのはやむを得ない雰囲気を持っている。もちろん人口増加州もあり、2.03%増のユタを筆頭にネバダ、フロリダ、テキサスなどが並ぶが、全体としては減少の勢いが勝っている。

新大統領のトランプは声高に移民抑制を叫んでいるが、この現実がある限り、そう簡単にはいくまい。アメリカの移民政策は国の根幹に関わる問題と言っても過言ではない。


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