よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

マグマがくすぶるアメリカの人種問題

2014年12月23日 | アメリカ通信
”差別を無くそう”と言うのは美しい言葉だが、現実的ではなく、永遠のテーマだ。現実社会では、”差があることを認め、それを直視し、そこから発生する諸問題にどのように折り合いをつけるか”と言う戦いであり、その為には様々な角度からのルールの整備、即ち法整備を間断無く行うことが求められる。アメリカは正にその歴史の連続だ。そして、問題が発生した時に出てくるキーワードが二つある。Do justiceとTreat fairly。いずれも「公平に扱う」意味だ。最近起きた二つの事件で今アメリカが揺れている。

先に起きたのがミズーリ州セントルイス近くの小さな町ファーガソンで起きた白人警官による黒人少年射殺事件。不良少年だが無抵抗だった少年になんと10発の弾を撃ち込んだ。そして警官が不起訴となって暴動に発展した。この事件で警官がいかに地位を保護されているか思い知らされる。簡単に言えば、”危険を感じたら”撃っていいことになっている。この事件は白人対黒人の溝を広げると共に、白人警察官に対する不信感を助長することになった。

マンハッタンで起きた事件は別の意味で酷い事件だ。喧嘩の仲裁に入っていた黒人に対し、駆けつけた白人警官が犯人と間違え、取り押さえる過程で首締めを行い死亡させてしまったのだ。明らかに過剰な行為であることはビデオを見ても良く分かる。当初警察は死亡に対し正当な行為だったと主張したが、騒ぎの大きさに急遽殺人事件として取り扱うことを発表せざるを得なかった。殺人事件として扱うが、この白人警官が起訴されるかどうかは未定である。犯人と間違えたことは認めても、行為は正当と不起訴になる可能性は十分だ。殺人事件として扱うことでガス抜きを図った可能性が強く、その事が透けて見えるから、全米で警察に対するデモが拡大した。

マンハッタンの事件が次の展開を見せたのが、先日起こったマンハッタンの二名の警官の”暗殺”事件だ。犯人も自殺したが、白人警官による首締め事件に対する警察への報復”暗殺”と判明し、事態は思った以上の深刻さをはらみ始めた。

ひとつ気になる事がある。黒人地位の向上の象徴であるオバマだ。黒人初の大統領は本当に良かったのか。特に黒人問題に対し、口で言うほど熱心ではないとの批判がある。恐らく、黒人問題に肩入れすることは”やはり黒人だから”と言われかねない、として距離を置いていると想像も出来るが、投票した黒人達からみれば「期待外れ」の感が否めない。このあたりにもマグマをくすぶらせる要因があるような気がする。

約半分の白人はアメリカの司法権力は黒人を公平に扱っていると考えているが、21%の非白人しかそう思っていない、と言うCNN調査がある。差別される側にならないと見えない現実がある、ということだろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。