バルカン半島とその東部は、長い歴史を通して多くの国が支配、被支配を繰り返してきた。今も、ウクライナ・クリミアで歴史が動いている。以下、私の個人的な意見です。
1 全般
①ウクライナ政変について
ウクライナはソ連邦崩壊により1991年に独立したが、経済運営がうまくいかず財政破綻の危機にあり、大国との関係強化を模索し続けてきた。EUかロシアか。EU寄りを主張する勢力がクーデターのような状況で暫定政権をつくった。
②クリミアについて
第二次世界大戦の独ソ戦争でクリミアを確保したソ連は先住タタール人の独軍との協力を恐れ、中央アジアに移住させいたが、戦後その空いた土地にロシア人を入植させロシア化した。そして60年前フルシチョフ首相がウクライナに編入してしてしまった。その後、クリミアはウクライナからの独立運動も起こしたが、今はウクライナ内のクリミア自治共和国となっていて、ロシア人は6割を占める。
今回の政変を機にクリミアはロシアへの編入を住民投票で決めた。ロシアはクリミアを独立国として承認、ロシアへの編入手続きに入っている。
2 私の意見
①今回のような状況は100年前であったならば列強国同士の戦争になりかねない。それを防いでいるのは情報であり、良識ある世界中の市民の眼である。
②これからの道筋はウクライナ自身が決めなければならないが、現実の世界政治の力学はそうさせない。ウクライナは東西勢力の緩衝地となる位置にある。EU、ロシア、アメリカは自国の国益のみ求めず、ウクライナを緩衝地とする行動をとるべきと思う。
③多民族、多宗教、多言語からなる国はたくさんある。それをうまく成り立たせていくのが歴史から学んだ人間の知恵だと思う。
④クリミアがロシア人住民の意思によりロシアに編入ということになると、ロシア人の住む日本の北方領土は、日本への返還が難しくなると思う。
絵はプーチン大統領 3月19日 岩下賢治