絵は各地で花盛りのハナニラ
4月11日、人口問題研究所が将来の家族や人口動向の予測を発表した。
超高齢化社会を目前にして重要なデータが含まれているので、一部を紹介したい。
①高齢世帯が一般世帯に占める割合は全国では2010年の31.2%から25年後の2035年には40.8%へと上昇する。そして都会より地方のほうが上昇率が高くなる。つまり地方の過疎化が一層進むとともに、全国の半数の所帯で高齢者を抱えることになる。
②また、世帯主が75歳以上の世帯のうち、単独世帯が2011と2035年を比較すると全国では73.1%増加する。つまり独居老人の所帯が倍増するのである。
③さらに人口構成でみると、20年後の2035年で、65歳以上の人口がなんと50パーセントを超えるということが数値で示されている。
こうした超高齢者社会の進展の中で老人介護の問題はいっそう深刻にならざるをえない。
現在の社会保障制度は旧来からの家族制度の上に乗っかっている。だから老人の介護はできるだけ家族で行うことが健全とされており、その結果が老老介護という悲惨な現実が生まれているのは周知のことである。しかも寿命が伸びれば伸びるほど、これは深刻な問題となる。私たち高齢者にとっては他人事ではないのである。
加えて現在の社会保障制度はほぼ破綻状況(大幅な赤字と加入者の減少)だから、この制度以外に、なにか抜本的な対策を工夫しなければと本気で思う。
私が提案したいのは、老老介護の現状を逆手に取って、老人たちが老人施設を積極的に利用する事はできないかということである。たとえば一定の老齢に達したら、週に何回か、老人ホームのような施設で介護の仕事を手伝う。そして介護を受けることはどういうことかを実感する。介護の仕事を身近に感じることで介護を受ける側、支える側の様々な問題を、老人自身が理解するのに役立つはずだ。
これは家族の介護ではない。朝から晩まで掛かり付けということではない。そしてこの活動は有給で、自身が介護を受ける側になった時の費用として積み立てられ、転用できるようにする。そうすることによって、施設の運営費は多少とも軽減化されるだろう。さらに入居者と外部の老人たちの交流が進められ、良質の施設になっていくはず……、と考えるのである。一部の自治体では、老人の生活や介護に若い人や子供を介在させ、地域として活性化を図ろうとする動きがあるようだが、不景気の時代に若い人は生活で手一杯である。そこにこういうアイディアであれば、若者の負担はいっそうの重くなる。
社会制度としては、老齢化・高齢化が進めば進むほど、若い人の負担を減らすことを考えなければいけないのである。【彬】