長いこと暮らした茨城から自宅のある東京・小金井市に戻り2月の梅の花の季節を迎えた。以前、ブログ(2013年3月2日)で、茨城の梅の花は、当地にまだ残る茅葺屋根の家の庭先に立つ梅の木の風景が良い、書きました。が、東京ではそのようなものはないですね。小金井公園には梅園があり様々な種類の花を見られるものの、背景に建物か何かがないと風景として物足りないですね。
そんな中、2月中旬過ぎの暖かな日、自宅近くの、八重垣稲荷神社に参拝する機会がありました。その神社はこじんまりして、鳥居や幟旗(のぼりばた)、椅子、テーブルが朱色。下町情緒のある時代劇のセットのようなつくり。椅子やテーブルは茶店の店先の雰囲気、どこかの町娘と、商家の手代が逢引きしている場面なんか想像できる風景です。そして、鳥居の横に梅の木が立ち、この日はほぼ満開でした。
梅の花と神社。これは、湯島天神、や、九州大宰府などが思い浮かびますが、僕にはちょっと大きすぎます。東京の梅の花。僕にとっては、自宅近くのこの稲荷神社と梅の花のセットがこの季節の風景になりそうです。
こういう時は、一句ひねりたくなる気分になるのですが、すでに昔の歌人の歌を宮司さんが梅の木に括り付けていました。
吾が苑に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも 大伴旅人
それではと、僕も一句詠みました。
春の陽に 誘われ愛でる 梅の花 におい身に着け さあ帰りなん
春の良き日でした。
絵は八重垣稲荷神社 2016年2月20日 岩下賢治