椿の海の写真
鉄牛(てつぎゅう)
最初に聞いた時は、そりゃなんてぇ食い物だと思ったゆきたんくである。
今でこそ日本人が当たり前のように飲んでいるウーロン茶のことでこんな思い出がある。ウーロン茶の最高級品種に「鉄観音」というのがある。
母とデパートへ行った時に、ウーロン茶を買った。包装箱には「鉄観音入り」と書いてある。昔よく食べたコーンフレークと同じくらいのサイズの箱であった。
当時コーンフレークのおまけにはプラスチックでできた小さなキャラクターがついていた。そのおまけは、なんとフレークと一緒にアルミ包装の袋の中に入っていた。
さあ、当時小学校4年生くらいのゆきたんくが何をしたか気がついたであろう。そう、「鉄観音入り」と記してあったので袋の口を開け、中を指でまさぐって中に入っているであろう、「鉄観音」という観音様のキャラクターを探したのである。当然見つかるわけはない。そうしてガサガサやっているところを母親に見つかってしまったのである。必死で言い訳を探した。そして「母さん、これ不良品だよ。鉄観音入りって書いてあるけれど、何も入っていなかったよ。ひどいねぇー。」ひどいのはお前(ゆきたんく)である。「振ってみてお茶の音しかしなかったので、中を開けて調べてたんだよ。」(お茶の音しかしないはずである。幼稚ないい訳だ) それを聞いて母は、「あのねえ、鉄観音というのはお茶の種類のことなの。それに、箱から袋を出す必要なんてないじゃないの。」とその後はあきれ返られた。 そうして鉄と名前の着く物と口に入れる物との関連性が勝手に頭の中にできあがってしまったのである。 鉄牛(てつぎゅう)と聞いて、なるほどと思ったゆきたんくである。鉄板で牛肉を焼いて食べることをいうのだと。その時小学校5年生。
しばらくして、それがお寺の和尚さんの名前だと知り、自分の馬鹿さ加減を知った次第である。
かつて千葉県には東庄町、干潟町(現旭氏)、海上町(現旭市)、八日市場市(現匝瑳市)と1市3町に跨る大きな低湿地帯があった。名前を「椿の海」という。この椿の海を32年かけて干拓し、18村の形成、三寺・三社を勧請して建立した偉大な人物の名前が鉄牛であったのだ。そして椿の海は良田に生まれ変わり、干潟8万石といわれる穀物地帯に生まれ変わったそうだ。
そしてその偉大な功績に対して寄進されたのが福聚寺(ふくしゅうじ…千葉県東庄町)である。
境内の祠の中には、2mにもおよび丈の石塔がある。
鉄牛和尚の墓
その祠の手前の両脇には石柱があり、
左には 「鉄牛道機老大和尚墓所」
右には「干潟八万石開拓功労者」と彫ってある。