一昨年末に京都と奈良を旅行した。
年末の31日には左京区付近の名刹リレーであった。
かの宮本武蔵が宿敵の吉岡一門と決闘をした一乗寺下り松から始まって、侘び寂の極地、慈照寺(銀閣)を見た。哲学の道をゆったりと歩き、南禅寺へ向かう。
かねてから下調べ済みの三門に立ち、「絶景かな、絶景かな」と石川五右衛門よろしく見栄を切り、煉瓦遺構の水路閣(琵琶湖疏水が流れる)に感動する。
水路閣(南禅寺境内)
そして、街中に抜けて、この日昼の観光は終わるはずであった。ところがである。
左京区から東山区(知恩院や清水寺がある)に抜けるところで、思わぬ建造物に出くわしてしまったのである。最初の写真の蹴上(けあげ)発電所内に残る、レンガ造りの旧発電所である。実はゆきたんくは戦争遺跡にも興味があり、この旧発電所を見た瞬間に新たな物件に出会ったと思ったのである。
もっとも、①煉瓦作りであるということ、②発電所だということのたった2点で麗しき誤解をしただけのことであった。帰宅してからいくら調べても戦争遺跡としての蹴上発電所は見つからなかった。
千葉県市川市の旧血清研究所内に残る、独立工兵第25連隊の火力発電所(と言われている)の建物のイメージから戦争遺跡と思ってしまったのである。ここはかつて国府台教導団という日本最高のレベルを誇った陸軍の施設があった所である。
独立工兵第25連隊火力発電所
これを見ていたので、蹴上の物件を見た時に「見つけた~」と思ったのである。
いずれにしても貴重な遺構であり、後世のためにしっかりと保存していただけるとありがたいと思う。最後の物件については血清研究所が2002年に廃止になって以来なんの手入れもしていないようである。国府台の戦争遺跡の中で唯一の建築物なのだが…