夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

久方(ひさかた)に、母と娘のふたり旅は・・。

2010-04-18 11:49:57 | 定年後の思い
私は東京郊外の調布市に住む年金生活6年生の65歳の身であり、
昨日の早朝、家内が旅立つので、4時に起きだした。

家内は家内の母とふたりの旅行であるが、広島市内に3泊した後、四国の道後温泉に4泊する旅行で、
昨年の年末に家内の母が我が家に来宅し、滞在した6日間のひとときに決めたことである。

家内の母は私より14歳ばかり齢上の高齢者であり、かの太平洋戦争の時は旧制・中学生であり、
この当時として数多くの人と共に軍事工場などで、従業されられていた・・。

ここ五年ばかり、生きているうちに観たい、という念願に基づいて、
沖縄の『ひめゆりの塔』、『平和の礎』のある『平和祈念公園』』、鹿児島の知覧にある『特攻平和会館』、
長崎の『長崎原爆資料館』などを私たち夫婦は共に訪ねてきた。

今回は広島の平和記念公園内にある『平和記念資料館』となり、
おかあさん・・女子挺身隊のようだね、と私は笑いながら家内の母に云ったりした。

沖縄、長崎、広島・・そして敗戦記念日は私はひとつの深い命題であるが、
家内達は予備知識さえも調べず、ただ観て感じる、ことに私は困ったりしていたので、
事前に書物とか参考なる資料を手渡してきたが、読んだ気配もなかったのである。

私は巡礼のような慰霊の旅かと思ったりしてきたが、観光めぐりのように思えて、
目的の定まらない旅行に感じで、今回の旅行に関しては辞退したのである。


私は早朝の4時過ぎに玄関庭の軒下で煙草を喫いながら、
霙(みぞれ)まじりの雨を眺めたりしていた。
私の住む地域では、昨日からの小雨が降ったり止んだりし午前中には雨が上がると予測されていたが、
霙(みぞれ)かょ、と季節はずれの天上の気候の神々のたわむれに驚いたりした。

居間に戻り、家内に、
『霙(みぞれ)まじりの雨・・やみそうもないよ・・
僕たちの旅行を通しても・・旅立つ日に雨が降り続けているのは初めてだねぇ・・』
と私は云ったりした。

そして前日にキャリアーカー(引き車)の大きめの旅行バックを最初に訪れる広島のシティホテルに送付していたので、
『旅行バック・・送ってて正解だったねぇ』
と私が過日の3日前にしぶる家内を説得して、宅配便で送付する提案をしたので、家内は微苦笑していた。

この後、再び玄関の軒下に下りれば、霙(みぞれ)まじりの小雪のように舞い降っていた・・。


私は家内をバス停まで見送る為に、5時45分過ぎに自宅を出たのであるが、
霙(みぞれ)まじりの雨となり、歩道はシャーベットのように滑りやすい雪の解けた状態であった。

『おかあさんと・・羽田であった後、待合所から電話を頂戴ね・・』
とバスを待っている時に私は家内に云ったりした。

私達夫婦は家内の母と羽田空港からの旅立ちの時は、
京浜急行の『羽田空港前』のプラットフォームのベンチで待ち合わせ、
その後は搭乗口に近い待合所でゆっくりと待機しているのが通例であった。

まもなくタクシーの空車が見えて、私は手を上げてタクシーを停車させた。
そして、家内の乗せたタクシーが遠ざかった後、
私は自宅に戻り、雨戸を明け、ガス・ファンヒーターを点けて、居間だけを暖房したのである。


8時20分過ぎに家内から電話連絡があり、
『母と娘の口げんかはよいが・・お互いに足などに捻挫だけは注意した方がよいよ・・』
と私は最後の言葉として、家内に云ったりしていた。

その後、9時過ぎに雨は上がり、そして明るくなり、
私はテラスに下り立ち、庭の白いベェールのような淡い雪を眺めたりしていた。

そして、まもなくして陽射しが射しこんで、空は青さを増してきた。
何気なし庭を眺めたら、白いベェールの情景は消え、しっとりとした黒い地表となっていた。

私はこのような情景を見ながら、
お母さんと遠い所に行くのは、これが最後だわ、あとは私達と一緒にいつものように温泉滞在旅行にするわ、
と家内が私に一ヶ月前に云ったりしたことを私は思い出したりしていた。

そして、家内の父が健在していた時、ときおり私達夫婦は家内の両親と旅行をしてきたことを想いだされたりした。
その後、確か家内の母とふたりだけの旅行は、私達が結婚して一年近い時に、
日光の奥地にある湯元温泉に宿泊しながら、1泊2日の短き旅行を楽しんだのは、
33年ぶりかしら、と思ったりしたのである。

家内は60歳の年金受給者の身となり、家内の母は80歳の迎えようとしている後期高齢となるが、
過ぎさる歳月は余りにも早く、果たしてこれからの残された人生は・・
と微(かす)かに風が吹き、庭の樹木の枝葉を揺らすのを長らく私は見つめたりした。



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