遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

南シナ海 航行の自由は確保されるのか

2015-11-10 22:50:05 | EEZ 全般
 米国海軍第7艦隊水上戦部隊所属の、イージス駆逐艦「ラッセン」が、中国によるスービ礁の埋め立てによる人口島の12カイリ内を航行し、「航行の自由作戦」を実施してから、2週間が経ちました。
 米国は、作戦は継続すると言っていますので、そのうち繰り返されるのでしょうが、表面上小康状態に見えます。
 ただ、ASEANの拡大国防相会議では、中国の圧力のせいで、共同宣言の採択が出来ず、共同宣言に代えて発表された議長声明にも、日米などが主張した「航行の自由」や「法の支配」については一言も盛り込まれませんでした。4月の外相会議では、議長国マレーシアのアニファ外相は、中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で進める埋め立て工事について「中止が望ましい」と明言されるといった場面もあったのですが、各国の対中姿勢が後退しています。
 中国の札束外交の効果、恐るべしですね。
 

南シナ海と日米 航行の自由守る結束促せ (11/10 産経 【主張】)

 南シナ海での「航行の自由」を守るため、日米は連携し、周辺諸国への働きかけを強めなければならない。

 だが、中国の国際ルールを無視した海洋進出を抑えようとしても、一筋縄ではいかない状況に直面している。
 先の
東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大国防相会議では、共同宣言すら採択できなかった
 東アジアの自由な通商にとって必須のシーレーンに身勝手な領有権を主張し、軍事的独占を図ろうとする中国の振る舞いは、この地域の平和と安全を脅かす。黙認してはならない。
 米国は、中国が南シナ海で造成し軍事拠点化を進める人工島の12カイリ内に米軍艦船を航行させ、日本やフィリピン、オーストラリアは作戦への支持を表明している。
 しかし、共同宣言に代えて発表された議長声明にも、日米などが主張した「航行の自由」や「法の支配」については一言も盛り込まれなかった。
 
関係国への働きかけで、中国に押し切られた
としかいえまい。

 今月半ば以降、日米中の首脳が出席する国際会議が続く。トルコでの20カ国・地域(G20)首脳会議をはじめ、フィリピンでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、マレーシアでの日米など8カ国とASEANの東アジア首脳会議である。
 
中国の習近平国家主席は、ベトナム、シンガポールを歴訪するなど、周辺国への懐柔や圧力を重ね、南シナ海問題での主導権確保を狙っている。

 安倍晋三首相は一連の会議で、真っ先にオバマ米大統領と会い、作戦への支持を伝えるべきだ。
日米首脳がそろって強い意志を示すことが、この地域で中国に対する結束をためらう国々の後押しに不可欠である。
 もちろん南シナ海での米軍の作戦だけでは、中国を押しとどめることはできない。
 
安倍首相にはこの機を逃さず、「航行の自由」を重視する国際社会の声を糾合し、軍事拠点化の中止を突きつけるべく、積極的な首脳外交
を展開してもらいたい。
 同時に、
オーストラリアやインドといったアジア太平洋地域の海洋国家同士の連携を深めてゆくことも重要だ。フィリピン、ベトナム海軍の支援など、日本にできることは少なくない。

 こうしている間も、人口島の軍事基地化は着々と進められています。
 数年後、南シナ海の制海・空権は、この人口島の中国の海空軍によって、中国が実効支配する可能性が強まっていきます。東シナ海より深くて潜水艦が暗躍するのに適しているとされる南シナ海の中国の潜水艦からは、米国本土や空母にむけたミサイルが睨みを効かせ、A2/AD戦略が整備されます。
 つまり、米軍は近づけなくなるのです。航行の自由が危うくなるのです。
 
 何故、人口島建設への米国の反対アクションが、埋め立てがほぼ完了するまで遅れたのかは謎(オバマ氏が習近平との面談での説得まで米軍の行動を止めた云々ではなく、埋め立てが始まった初期のアクション)ですが、人口島の埋め立てが完了した事実は動かせません。
 工事が始まった初期からアクションしていれば、ここまで堂々と埋め立てを進められることはなかったかと思われますが、覆水盆に返らず。
 今からでも、南シナ海の航行の自由を確保するにはどうすれば良いのか。東シナ海の様に、国際常識とは異なる、中国流ADIZや、領海・空設定を阻止するにはどうすれば良いのか、アジアの一方の雄の日本は阻止行動の先頭に立たねばなりません。シーレーンの国益を守らねばなりません。

 その方策は何か!
 一つは、フィリピンが提訴し、動き始めた常設仲裁裁判所(PCA)の判決の成り行きへの注視です。PCAは、必ずしもフィリピンに有利な判断が示されるとは限らないと強調しているのが気がかり(中国の裏工作?)ですが、「仲裁を受け入れないし、(審理に)参加しない。」と言っている中国を、国際法に従わせる環境造りが必要です。
 そもそも、埋め立ての人口島が、領土とはならず、領海・空の基点にならない国際海洋法を護る様、国際世論を結集せねばなりません。
 方策は、中国に国際法を守る様、世論を結集して迫ることです。
 日米が連携・主導し、オーストラリアやインドとも連携し、世論を結集することが急がれます。
 国会開催を犠牲にして外遊を優先させている安倍首相。習近平の暗躍に勝るとも劣らない成果が望まれますね。



 # 冒頭の画像は、南シナ海で米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」と共同訓練した海上自衛隊の護衛艦「ふゆづき」
 南シナ海で海上自衛隊の護衛艦「ふゆづき」と米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」が共同訓練を実施 - YouTube




  この花の名前は、福寿草 撮影場所 ; 信州四賀福寿草まつり 2015年 3月


↓よろしかったら、お願いします。






Fotolia






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 11月9日(月)のつぶやき | トップ | 22世紀の教科書では、中国は... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

EEZ 全般」カテゴリの最新記事