遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国大気汚染 国民の不満や経済失速への

2015-12-10 23:58:58 | 中国 全般
 北京では8日、PM2.5(微小粒子状物質)の平均濃度が 1立方メートルあたり300マイクロ・グラムを超え、日本の環境基準の約 9倍となり、初の「赤色警報」が発せられました。
 鈍化する経済成長対策に追われる習近平は、新たな国民の不安増への対策にも追われることとなっています。
 GDP世界第二位の中国ですが、COP21では途上国の立場で既得権利を離さず、先進国を攻めていました。2012年のCO2排出量は世界全体では317億トンで、最も多いのは中国で26%。2位アメリカ16%、3位インド6.2%と続いています。
 国際的にも風当たりは強く、削減目標を示した習近平。国内外からの圧力に曝されています。
 国民の不安対策についての記事。
 

大気汚染焦る習政権 「赤色警報」効果薄 不満解消と成長 両立困難 (12/10 読売朝刊)

 【北京=蒔田一彦】深刻な大気汚染に見舞われている北京では9日も、最も厳しい「赤色警報」発令に伴う車両規制などの緊急措置が続いた。しかし、汚染状況の改善はほとんど見られず、対策の手詰まり感も漂う。習近平政権は、汚染の長期化に対する国民の不満が体制に向くことに警戒を強めている
模様だ。

 この日はナンバーの末尾が偶数である車両の通行が禁止され、通行量はほぼ半減。しかし、北京中心部ではスモッグで視界が悪い状態が終日続き、発がん性が指摘される微小粒子状物質(PM2・5)の濃度も、1立方メートルあたり200~300マイクロ・グラム(日本の環境基準は35マイクロ・グラム)で推移した。
 中国メディアによると、市内の病院には呼吸器系疾患の症状を訴える患者が押しかけ、外出を避けるためにネットショッピングや宅配サービスの利用が急増しているという。日系企業の中でも、従業員の自宅待機や勤務時間短縮など対策をとる動きが出ている。
 大気汚染が常態化する中、北京市は今回、初めての赤色警報発令に踏み切ったが、目に見える改善にはつながらずにいる。9月の「抗日戦争勝利70年」記念行事に合わせて実施されたような、
一定期間にわたる工場の操業停止や車両通行規制など強制措置がない限り、汚染解消は難しいことを露呈し
た。会社員男性(28)は「緊急措置ではなく、根本的な解決策が必要ではないか」と不満をもらした。
 ただ、
中国の専門家は中国紙・環球時報(英語版)に対し、強制措置は「経済的な代償が大きすぎる」とし、「常態化は非現実的」との見解
を示している。
 深刻な汚染は北京に限らない。中国環境保護省の観測によると8日、中国が独自に算出している「大気汚染指数」で、50都市以上が重度汚染の基準となる「200」を超え、東北地方や内モンゴル自治区、陜西省など広範囲にわたった。11月末から12月1日にかけて、スモッグなどが日本の国土の約1.4倍の約53万平方キロ
・メートルを覆ったという。
 
環境保護省は8日、規制の実施状況を調査するため、計12の監視団を北東や河北省などに派遣。対策に全力を挙げる姿勢を国民にアピールしようとしている。北京の国際金融筋は「習政権は、大気汚染に対する国民の不満解消と経済成長を並行して進めるという難問に直面している」との見方を示す。

 9月の「抗日戦争勝利70年」記念行事に合わせて実施された強制措置で北京に見事な青空が戻ったことで証明された様に、工場や車両から排出されるCO2他の物質を抑えれば改善されるという実証実験済ですね。勿論、経済的損失が大きく、現実には継続実行は出来ません。
 経済に重点を置いた記事は以下。
 

中国、大気汚染「赤色警報」と景気減速の関係:日経ビジネスオンライン

<前略>
衣料品など労働集約型産業の輸出が減少
 北京がスモッグに包まれた12月9日、中国国家統計局は11月の卸売物価指数と消費者物価指数(CPI)を発表した。CPIは前年同月比で1.5%上昇。上昇幅は10月の同1.3%上昇から0.2ポイント広がった。一方、11月の卸売物価指数は同5.9%下落した。下落幅は前月と同じで、実に3年9カ月にわたって前年の水準を割り込む状況が続いている。
 12月8日には中国税関総署が11月の貿易統計を発表した。
米ドル建ての輸出は前年同月比6.8%減で、5カ月連続でマイナスとなった。「世界の工場」としての中国をこれまで支えてきた、衣料品や靴など労働集約型の商品の輸出が落ち込んでいる石炭や鋼材の取引が減っている影響などにより輸入も8.7%減
だった。

 底堅い個人消費の伸びに支えられて消費者物価は安定しているものの、産業構造の転換や過剰生産能力の解消に時間がかかっており、これらが全体の成長率を押し下げている。物価指数や貿易統計からはこのような中国経済の現状が見てとれる。
 輸入の下落幅が10月から改善したことを受けて、中国の国内需要が回復傾向にあるとの見方もあるが、
需要の低下とそれにともなう過剰設備の問題は今なお深刻
とも言える。

 また、過剰生産能力を抱える産業の 代表格とも言える鉄鋼業やセメント業は、大気汚染の原因物質を排出している代表業種でもある。中国には鉄鋼業、セメント業それぞれで中小を含めると2000~3000社ほどが存在すると言われている。中小の中には、汚染対策を施していない企業も多いとされており、大気汚染の原因の1つになっている。北京市の「赤色警報」発令は、過剰生産能力の解消がなかなか進まない中国経済の現状を映しているとも言える。

海外展開を急ぐセメント大手の海螺集団
 そんな中で、これらの業種の大手企業は海外に成長の余地を見つけ出そうとしている。
 セメント業界大手の安徽海螺集団は海外の売上高や生産能力を全体の2割にまで高める計画を掲げる。現在はインドネシア、ミャンマー、ラオス、カンボジア、ロシアの5カ国で12のセメント工場建設プロジェクトを進めている。
 特にインドネシアでは既に生産を開始した工場も含めて、6ものプロジェクトを進めているという。海螺セメントの周波・執行董事は「
世界各地に進出することにより、中国経済の減速が業績に及ぼす影響を分散
できる」と話す。
 こうした動きは陸のシルクロードと海のシルクロードの周辺国との関係を強化する
「一帯一路」や、企業の海外進出を促進させる「走出去」
といった中国政府の政策とも一致する。一帯一路などは海外の需要を取り込むことで過剰生産能力の問題を解決する狙いもあるとされる。
 ただ中国への経済依存度が高い東南アジアの国々などは、中国減速の影響を大きく受けてしまう可能性もある。進出した国々の景気が減速することで、中国国内と同様に過剰な生産能力を抱える問題に直面しないとも限らない。

 北京の
大気汚染と貿易統計などの数字は、環境や経済など様々な側面において、中国の構造改革の必要性とその困難な道のりをあらためて示している。

 大気汚染の原因物質を排出している代表業種は、鉄鋼業やセメント業なのだそうで、中小の中には、汚染対策を施していない企業も多いのだそうで、大気汚染の原因の1つになっていると。過剰生産で在庫が増え、工場の稼働が減れば大気汚染も減るのでしょうが、史上初の「赤色警告」が発せられています。なぜなのでしょう?

 国内需要の低下で、これらの企業も海外進出を進めているのだそうです。そうなれば、中国国内の汚染は減るのでしょうか。その分は、進出先の国で増えるので、地球規模では変わらない?

 なので、企業や車両の廃棄物による発生源の汚染防止が必要です。
 が、企業で汚染防止対策を進めることは、生産コスト増を招き、人件費の高騰でコスト増を強いられている中、ますます輸出競争力を失うことになります。

 記事は、大気汚染と貿易統計などの数字は、環境や経済など様々な側面において、中国の構造改革の必要性とその困難な道のりをあらためて示していると結んでいますが、困難な道のりが強く実感される大気汚染の解消策ですね。
 しかしそれは、中国経済が、新興国の特権を捨てて、先進国とハンディなしで競争する名実ともに一流国への仲間入りが出来ることでもあります。そうなってもなお、世界一の貿易量が維持できるかは未明ですが。。



 # 冒頭の画像は、北京の「赤色警報」発令時の様子。




  この花の名前は、サルビア・スプレンデンス


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